通所介護計画書のダウンロードから書き方まで解説!記入例もあり!

通所介護計画書

2015年度に介護保険法が改正され、居宅介護支援事業所に通所介護計画書の提出を求めることができるとの規定がなされました。

また、地域密着型サービスでは運営推進会議で第三者へのケアの報告が義務づけられており、この際に計画書を提示する可能性もあるなど、通所介護計画書はますます重要性を増しています。

今回は、重要度が増している通所介護計画書の概要や具体的な記載方法、記載する際の注意点などについて詳しく解説していきます。

1.通所介護計画書とは?

通所介護計画書

通所介護計画書とは、通所介護サービスを利用しているご利用者ごとに、通所介護事業所が作成する支援計画書です。

サービス提供全体の基本的方向性を定めているケアプランに基づいて作成され、通所介護サービスに対する個別支援計画としての役割を果たします。

また、通所介護計画書は計画を作成するだけでなく、その後の利用者の介護度合いや状態を見逃すことなく、日常の介護記録等を参考に定期的にモニタリングを行ない、必要であるならば計画書の改定を行うことも検討する必要があります。

通所介護計画書は作成すれば終わりではなく、利用者の状態の変化に合わせて柔軟に姿を変えるものとして認識して置きましょう。

2.通所介護計画書のダウンロード方法

通所介護計画書

通所介護計画書の参考様式は各都道府県のホームページなどにダウンロード可能なものがあります。

Wordファイルでダウンロードできるものも多いため、パソコンで文字を打って作成することもできます。

ただし、読み手が高齢の場合もあるので、見やすいフォントの種類や大きさを選びましょう。

3.通所介護計画書の記載方法

通所介護計画書

記載情報としては、主に以下の5点があります。

    • 基本情報
    • 「障害老人の日常生活自立度」の基準
    • 認知老人の日常生活自立度
    • 利用目標
    • 利用者同意欄

以下で、通所介護計画書の具体的な記載方法を項目ごとに説明していきます。

3-1.基本情報の記載

作成日と前回の作成日、計画作成者の情報などを記載します。

計画書がすでに作成されていてそれが更新、変更である場合は、前回の作成日についても記載します。

計画作成者は基本的に通所介護事業所の職員となります。

また、「通所介護利用までの経緯」の欄は、ケアプランに通所介護サービスを利用する経緯や目的、期待される効果等を記載します。

3-2.「障害老人の日常生活自立度」の基準と記載方法

ここは、高齢者の自立度判定基準に従って記載します。

なお、それぞれのランクと内容は下記の通りです。

  • J 障害は抱えているが日常生活に支障を生じる程ではなく生活は自立していると判断される
  • A 障害を抱えており外出には介助が必要だが自宅等の屋内での生活は自立できる
  • B 障害を抱えており外出はもとより自宅等の屋内においても介助が必要。生活の場はベッド上であることが多いが座位は保たれている
  • C 障害を抱えており1日のほとんどをベッド上で過ごしている。日常生活の基本的動作についても介助が必要

それぞれの参考例としては、Jランクであれば公共交通機関や徒歩などで外出をすることが可能、Aランクは日常的に自分で起きたり寝たりすることが可能、Bランクは車椅子による移動が必要、CランクはC1ランクであれば寝返りを自分で打てるレベル、C2ランクであれば自分で寝返りを打てないレベルとされています。

3-3.「認知老人の日常生活自立度」の基準と記載方法

認知症高齢者の自立度判定基準に従って記載します。なお基準の程度は下記の通りです。

  • Ⅰ 認知症ではあるが日常生活に支障を生じる程ではなく、生活は自立していると判断される
  • Ⅱa 認知症ではあるが外出に時折、支障が生じる程度で支援者が気を付けていれば自立可能な状態
  • Ⅱb 認知症であるが自宅等の屋内において症状が見られるようになった程度で、支援者が気を付けていれば自立可能な状態
  • Ⅲa 認知症であり主に日中において日常生活に支障をきたす症状等が見られる。介護が必要な状態である
  • Ⅲb 認知症であり日中のみならず夜間においても日常生活に支障をきたす症状等が見られる。介護が必要な状態である
  • Ⅳ 認知症であり常時症状等が見られ、常に介護が必要な状態である
  • M 著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態

3-4.「利用目標」の記載方法

利用目標欄は、長期、短期それぞれのスパンで目標を設定しましょう。

長期目標としては、ケアプランの目標を参考に、今後利用者がどのような生活を送りたいのか、という長い目で見た際の目標を具体的に設定します。

あくまで利用者が主体なので、利用者の価値観を十分に意思を尊重しましょう。

達成時期は6ヵ月~1年程度ですが、最低でも6ヵ月に一度は見直すようにしましょう。

短期目標もケアプランの短期目標を参考に、長期的な目標を達成するために日々取り組まなければならない短期的な目標を設定します。

利用者および支援者となる家族や介護事業所と意見交換を重ね、関係者が共有できる目標を設定することが重要です。

また、達成時期については、基本的に毎日の積み重ねであることを考慮すると特に日付を決めることはできませんが、計画書自体は日々更新するものではないので3ヵ月程度を目安に、日々PDCAサイクルの中で取り組むという理解で良いでしょう。

3-5.利用者同意欄の同意と報告

通所介護計画書を作成した際は、ご利用者およびそのご家族等に同意が必要です。

同意なしに計画を実行することは、本人の意思が尊重されていないことにもなるので、必ず関係者に説明を行うようにしましょう。

同意が得られたら、居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャーに報告をするという業務の流れになります。

4.通所介護計画書の作成において大切なこと

通所介護計画書

通所介護計画書は施設の利用者にも内容を理解してもらうために、目標の設定や記載内容をわかりやすく明確に記載してもらう必要があります。

特に、以下の2点について気を付けて記載を行うようにしましょう。

4-1.長期目標、短期目標の適切な設定

具体的に分かりやすく記載することが重要です。

特に、長期目標は施設や事業所がその利用者に担うべき目標や使命が明確になっていないと設定することが難しいものです。

まずは利用者の状態を適切に共有し、話し合いの中で自分たちの役割を明確化しましょう。

その後に長期目標が決まれば、おのずと短期的な目標も定まってきます。

また、長期目標は決して固定化されるものではなく、利用者の状態に合わせて柔軟に変化していくものです。

常にPDCAサイクルを回すことを念頭に入れ、当初決めた目標にこだわりすぎないよう、組織の中で見直しの期間をあらかじめ定めておくようにしましょう。

4-2.明確にわかりやすく記載する

計画書は、どのようにサービスを提供していくかという計画を記載するものです。

利用者が知りたいのは症状の状況ではなく、その症状があるからどういうサービスを提供してくれるかであるということを踏まえて記載することが重要です。

例えば、よく使われる「リハビリテーション」という言葉だけではどのような運動訓練を行うのかわかりません。

より明確に伝えるのであれば、「自分で歩くことができるように踏み台昇降を行う」などと具体的に内容を記載する必要があります。

5.まとめ

通所介護計画書

これまで、主に通所介護計画書の記載方法や注意点について解説してきました。

今後、通所介護計画書は開示する機会が増え、ますます介護分野で重要な書類となってくると考えられます。

だからこそ、計画書は利用者にも理解してもらえるような適切でわかりやすい表現や目標の共有が重要になってきます。

計画作成を担当する生活相談員や介護支援専門員は、今回解説した記載方法や適切な表現を用いながらよりよい計画書になるよう、記載方法をマスターしてください。