トライアル雇用助成金とは?メリット・デメリットや申請の流れを解説!
「トライアル雇用助成金ってどんな助成金制度?」と気になっていますね。
トライアル雇用助成金とは、本雇用の前にお試しで3ヶ月間採用することで受けられる助成金です。
およそ8割のトライアル雇用者が本雇用に繋がっています。
人手不足に悩まされている企業であれば、積極的に活用したい助成金です。
しかし、トライアル雇用を「助成金目的」に行うと、返ってコストがかかってしまいます。
今回はトライアル雇用助成金の概要や申請の流れ、注意点などを分かりやすく解説!
トライアル雇用助成金の知識を深め、新たな人材を確保しましょう。
1.トライアル雇用とは
トライアル雇用助成金を確認する前に、「トライアル雇用」について確認していきましょう。
トライアル雇用とは、本採用する前にお試しで3ヶ月間雇うことです。
就業経験が不十分であったり、長期間ブランクがあったりして就職が難しい人を対象にトライアル雇用という制度が作られました。
3ヶ月間トライアル雇用を行い、企業と求職者が納得した上で本採用することができるのです。
ただし、トライアル雇用はすべての求職者が対象ではありません。
- 就労経験のない職業に就職したい人
- 学校卒業3年以内で安定した職業に就いていない人
- 妊娠、出産・育児などで離職し、安定した職業に就かない期間が1年以上の人
このような人がトライアル雇用の対象です。
もし、トライアル雇用をすればトライアル雇用助成金の対象となります。
しかし、助成金のためにトライアル雇用をするのは危険です。
トライアル雇用のメリットとデメリットを確認し、自社にメリットが大きいか見極めましょう。
(1)トライアル雇用のメリット
トライアル雇用の最大のメリットは、適性や能力を見極めた上で本採用できることです。
というのも、トライアル雇用をしたからといって本採用する必要はありません。
一度現場で働いてもらってから、自社に合った人材であるかを見極められるのです。
採用におけるミスマッチが減るため、コスト削減にも繋がるでしょう。
(2)トライアル雇用のデメリット
トライアル雇用をすると未経験人材を採用することになり、教育や育成に時間がかかってしまう可能性が高いです。
経験がある場合でも、一定期間のブランクがあるなど即戦力には欠けるでしょう。
トライアル雇用中の3ヶ月間にどれだけ教育・育成ができるかによって本採用に繋がるかが決まります。
綿密な教育計画を立てる必要があり、通常の採用よりも労力がかかってしまうかもしれません。
このように、教育や育成に時間がかかってしまうことに留意しておきましょう。
2.トライアル雇用助成金とは
トライアル雇用助成金とは、トライアル雇用をすることで受けられる助成金です。
基本的に3ヶ月間のトライアル雇用を行い、月額×3ヶ月分の助成がされます。
職業経験不足や一定期間のブランクがある等、就職困難となっている求職者に雇用の機会を与えるために作られた制度です。
労働者の適性を確認した上で本採用できるので、ミスマッチを防ぐことができます。
ただし、すべての事業者が助成金を受けられるわけではありません。
受給要件や助成金の支給額を見ていきましょう。
(1)受給要件
トライアル助成金支給の主な要件は以下の3つです。
- 原則3ヶ月間のトライアル雇用をすること
- 1週間あたりの所定労働時間が30時間を下回らないこと(日雇い労働者・ホームレス・住居喪失不安定就労者の方は20時間を下回らないこと)
- 過去6ヶ月間、従業員の解雇をしていない事業主であること
他にも細かな要件が定められています。
『トライアル雇用助成金のご案内』や都道府県労働局・ハローワークで確認で詳しく確認しましょう。
(2)支給額
支給額は、1人あたりの月額×雇用期間(最大3ヶ月)の金額です。
母子家庭・父子家庭の場合かそうでない場合かによって変わります。
割合 | 母子家庭の母もしくは父子家庭の父以外の場合 | 母子家庭の母もしくは父子家庭の父の場合 |
月額 | 4万円 | 5万円 |
ここまでトライアル雇用助成金の概要を見てきました。
実際に「トライアル雇用をしたい!」と思うのであれば、次の章で申請の流れを確認していきましょう。
3.トライアル雇用助成金の申請の流れ
(厚生労働省│トライアル雇用助成金のご案内)
トライアル雇用助成金の申請の流れは、以下の5つのステップに分けることができます。
- ハローワークにトライアル雇用求人を出す
- 採用面接をして雇用をする
- トライアル雇用実施計画書を提出する
- 常用雇用の契約を締結する
- 支給申請をする
順番に見ていきましょう。
流れ1.ハローワークにトライアル雇用求人を出す
まず、ハローワークでトライアル雇用求人を出しましょう。
ハローワークにある求人申込書に記入し、求人票を作っていきます。
雇用条件や仕事内容、賃金なども記入しましょう。
求人申込票の書き方が厚生労働省のホームページに掲載されているので参考にしてください。
提出の際、助成金を受給したい旨も伝えておきましょう。
流れ2.採用面接をして雇用をする
ハローワークからトライアル雇用の応募があれば、採用面接を行いましょう。
トライアル雇用では、書類選考は設けません。
すぐに面接での選考を行い、トライアル雇用をするか判断をしましょう。
流れ3.トライアル雇用実施計画書を提出する
トライアル雇用が決定したら、2週間以内にトライアル雇用実施計画書をハローワークに提出しましょう。
トライアル雇用実施計画書は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
計画書には以下のような内容を記載していきます。
- トライアル雇用実施事業所の情報
- トライアル雇用対象者の情報
- トライアル雇用の実施の内容(期間・所定労働時間・本採用のための要件)
- 常用雇用契約の要件
計画書に記入した内容に沿ってトライアル雇用を実行しましょう。
流れ4.常用雇用の契約を締結する
トライアル雇用の期間が過ぎたら、本採用するかどうかを決定しましょう。
事業主・労働者の双方の合意が取れたら、常用雇用の契約を締結します。
もし、能力が足りない等によって常用雇用に至らないなら、しっかりと理由を説明しましょう。
このとき、トライアル雇用の労働者を「解雇する」ことになります。
基本的には、トライアル雇用実施計画書に記入した常用雇用契約の要件をクリアしたら本採用をすべきです。
流れ5.支給申請をする
トライアル雇用の期間が終ってから2ヶ月以内に、ハローワークへ支給申請をしましょう。
申請書は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
ほかにも、以下の書類が必要です。
- 受理印のあるトライアル雇用実施計画書の写し
- トライアル雇用労働者に係る出勤簿(勤務状況が確認できるもの)の写し
- トライアル雇用労働者に給与を支払ったことがわかる賃金台帳
- トライアル雇用労働者との労働契約について確認できる書類(労働契約書など)
- トライアル雇用労働者を本採用した場合、常用雇用したことが確認できる書類(労働契約書など)
基本的には以上の書類を添付する必要があります。
雇用状況やトライアル雇用労働者の状況によっては必要書類が多いケースもあるので、申請前にハローワークへ問い合わせましょう。
4.申請を通すための2つのポイント
ここまでトライアル雇用労働や助成金の申請方法について見てきました。
しかし、すべての申請事業主の助成金が認められるとは限りません。
あらかじめ以下の2つのポイントを理解しておくと、申請が通りやすくなります。
- 基本は本採用するつもりでトライアル雇用する
- 本採用に至らない場合は理由を説明する
詳しく確認していきましょう。
ポイント1.基本は本採用するつもりでトライアル雇用する
基本的には、本採用するつもりでトライアル雇用をしましょう。
なぜなら、助成金目的だけで3ヶ月のトライアル雇用をするには負担が大きいからです。
トライアル雇用を通じて本採用ができると優秀な人材を確保しながらも助成金がもらえることになります。
しかし、トライアル雇用助成金をもらうためには、多くの書類を作成しなければなりません。
もちろん賃金も発生し、人材教育に労力をかけることになります。
一方、助成金はもらえても最大5万円×3ヶ月=15万円です。
本採用をしないのであれば、コストに対して助成金は「少ない」と感じるでしょう。
そのため、基本は本採用をするつもりでトライアル雇用を活用すべきと言えるのです。
ポイント2.本採用に至らない場合は理由を説明する
もし、本採用に至らない場合は理由をしっかり説明しましょう。
なぜなら、「助成金が欲しいがためにトライアル採用をしたのでは?」と疑われると、助成金が支給されないこともあるからです。
トライアル雇用助成金の支給申請をする事業主の中には、事業主の勝手な理由で本採用をしない悪質な事業主もいます。
しかし、そもそも就職困難な人に雇用のチャンスを与えることがトライアル雇用制度の狙いです。
能力があるにも関わらず本採用に結びつかなければ、労働者の職歴が傷つきます。
第三者が聞いても納得できるような不採用理由を用意しておきましょう。
5.トライアル雇用助成金を申請するときの注意点
最後にトライアル雇用助成金を申請するときに知っておきたい注意点を見ていきましょう。
トライアル雇用助成金に関する注意点は2つあります。
- トライアル雇用の対象外でないか確認する
- 減額になるケースがあることを覚えておく
事前に確認しておき、スムーズに助成金を受給しましょう。
注意点1.トライアル雇用の対象外でないか確認する
トライアル雇用の対象外ではないか、確認しておきましょう。
以下のような企業は、トライアル雇用助成金を受給できません。
- 過去6ヶ月の間に解雇を実施した企業
- 過去に不正行為などで助成金の支給が取り消しになったことのある企業
万が一、当てはまるのであればトライアル雇用を検討していても受給することができません。
残念ながら、トライアル雇用助成金は諦めましょう。
注意点2.減額になるケースがあることを覚えておく
トライアル雇用助成金は、以下の場合減額になってしまいます。
- トライアル雇用期間が1ヶ月未満のとき
- 就労予定より実際の就労日数が下回ったとき
それぞれ詳しく確認しておきましょう。
①トライアル雇用期間が1ヶ月未満のとき
トライアル雇用期間が1ヶ月未満となったとき、減額対象となります。
常用雇用に切り替わったり支給対象者が離職したりすることもあり得るのです。
離職の場合、以下のケースであれば減額対象となります。
- 支給対象者が故意の過失がある場合
- 本人都合による退職や死亡の場合
- 天災などによって事業継続ができなくなった場合
トライアル雇用期間が1ヶ月未満とならないよう、注意しましょう。
②就労予定より実際の就労日数が下回ったとき
休暇や休業などで就労を予定した日数より、実際の就労日数が下回ると減額の対象になる場合があります。
以下の計算をして、Aが75%を下回った場合減額となるので注意しましょう。
A=実際に就労した日数÷1ヶ月間に予定していた就労日数
ちなみに、Aの割合によって助成額は変動します。
割合 | 月額 | |
母子家庭の母もしくは父子家庭の父以外の場合 | 母子家庭の母もしくは父子家庭の父の場合 | |
A≧75% | 4万円 | 5万円 |
75%>A≧50% | 3万円 | 3.75万円 |
50%>A≧25% | 2万円 | 2.5万円 |
25%>A>0% | 1万円 | 1.25万円 |
A=0% | 0円 | 0円 |
このように計画よりも就労日数が少ないと減額対象となります。
できるだけ計画通りに出勤させるように気をつけましょう。
6.トライアル雇用助成金なら井上社労士事務所へご相談ください
ここまで、トライアル雇用や助成金の制度について詳しく見てきました。
しかし、「トライアル雇用はしたいけどスケジュール管理が不安」「書類が多くて面倒」と感じる経営者もいるでしょう。
そんなときは、ぜひ井上社労士事務所へご相談ください。
井上社労士事務所では、現役経営者が迅速・丁寧に助成金の申請をサポートいたします。
また、どのように申請すれば受給額を最大化できるのかもご提案!
申請のタイミングや条件など、適切なアドバイスをいたします。
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もちろん、無料でアドバイスいたしますので、まずはご連絡ください。
まとめ
トライアル雇用助成金とは、本雇用の前にお試しで3ヶ月間採用することで受けられる助成金です。
およそ8割のトライアル雇用者が本雇用に繋がっています。
人手不足に悩まされている企業であれば、積極的に活用したい助成金です。
トライアル雇用助成金を活用して、新たな人材を確保しましょう。