地域雇用開発助成金を活用して地域を活性化!受給の要件や給付額を徹底解説

「地域雇用開発助成金ってどんな助成金制度?」とお調べですね。

地域雇用開発助成金とは、過疎化地域で従業員を新しく雇ったときに受給できる助成金のことです。

求人が少ない地域や高齢者ばかりの厚生労働省指定地域に会社があるなら、積極的に活用したい助成金と言えます。

しかし、注意点を把握しておかなければ受給できない可能性もあるのです。

地域雇用開発助成金の理解を深め、助成を受けながら雇用を拡大していきましょう。

1.地域雇用開発助成金とは

地域雇用開発助成金とは

地域雇用開発助成金とは、過疎化地域で従業員を新しく雇ったときに受給できる助成金です。

求職者数に対して雇用機会が不足している地域や若年層の流出が著しい地域などが対象となっています。

求人が少ない地域や高齢者ばかりの厚生労働省指定の地域でなければ助成されません。

地域雇用開発助成金は、求職者の雇用環境の改善が目的です。

労働者の定着率や雇用環境の改善に助成金を役立てましょう。

(1)対象の地域

対象地域は、3つの地域に分けることができます。

  1. 同意雇用開発促進地域
  2. 過疎等雇用改善地域
  3. 特定有人国境離島等地域

3つの地域について詳しく確認していきましょう。

①同意雇用開発促進地域

同意雇用開発促進地域とは、求職者数に比べて雇用機会が著しく不足している地域を指します。

指定地域は、厚生労働省『同意雇用開発促進地域一覧』にて確認しましょう。

②過疎等雇用改善地域

過疎等雇用改善地域とは、若年層・壮年層の流出が著しい地域を指します。

指定地域は、厚生労働省『過疎等雇用改善地域一覧』にて確認しましょう。

③特定有人国境離島等地域

特定有人国境離島等地域とは、国境近くにある離島を指します。

指定地域は、厚生労働省『特定有人国境離島地域等一覧』にて確認しましょう。

(2)支給額

支給額は、事業所の設置や労働環境の整備にかかった費用、雇用した労働者の数によって変わります。

地域雇用開発助成金の支給額

厚生労働省│地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引

1年に1度、最大3回まで支給申請が可能です。

1回目の支給時に限って、中小企業事業主は支給額の1/2が上乗せされます。

さらに、新しく創業した場合は、支給額の1/2が上乗せされます。

設置・整備費用として認められる経費については、厚生労働省『地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引』に詳しく記載されているので参考にしましょう。

(3)要件

受給のためには、以下のすべての要件を満たす必要があります。

  • 指定地域の事業所における施設・設備の設置・整備を行い、指定地域に居住する求職者を雇用する計画書を計画日から最長18ヶ月間で実施すること
  • 1点当たり20万円以上、合計額300万円以上の設置・整備費用を使っていること
  • 地域に居住する求職者を一般被保険者または高年齢被保険者として3人以上お雇い入れること(創業の場合は2人以上)
  • 事業所における被保険者の数が計画日前日と終了日で比較して、のべ3人以上増加していること(創業の場合は2人以上)

要件を見ていると、雇用を増やしていても元々の従業員が辞めてしまって会社全体の従業員の数が変わっていなければ受給の対象にならないことが分かります。

要件が細かく設定されているので、十分注意しましょう。

2.地域雇用開発助成金の申請から受給の流れ

地域雇用開発助成金の申請から受給の流れ

ここまでは地域雇用開発助成金の内容を確認しました。

要件に当てはまっていても、正しく申請しなければ受給できません。

そこで、事前に申請から受給までの流れを確認しておきましょう。

地域雇用開発助成金の手続きは、以下の3つの流れに分けることができます。

  1. 計画書を提出する
  2. 計画を実行する
  3. 完了届を提出する

詳しく確認していきましょう。

流れ1.計画書を提出する

まずは、計画書を管轄の労働局へ提出しましょう。

計画書の提出日から計画完了予定日までの間に発生した経費しか助成金の対象になりません。

計画書提出前に、助成金の対象となるものの経費を使わないように注意しましょう。

以下の書類を用意し、計画書と一緒に提出します。

計画書には、実行可能な内容を記載しましょう。

内容変更があった場合、計画書変更届を提出しなければなりません。

時間をかけて作成することをおすすめします。

流れ2.計画を実行する

提出した計画書に沿って施策を実行していきましょう。

助成金を受給するためには、以下の2つを満たさなければなりません。

  • 指定地域に居住している求職者を3名以上(創業の場合は2名上)雇用する
  • 地域の雇用拡大のために事業所の設置・整備に300万円以上使う

雇用のために使った経費は助成金の対象となります。

見積書や請求書、納品書などの書類は無くさないように保存しておきましょう。

流れ3.完了届を提出する

事業所の設置・整備、労働者の雇用を行ったら、完了届を労働局に提出しましょう。

完了届は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

完了届の提出期限は、計画書提出から18ヶ月以内です。

ただし、計画書の提出から18ヶ月が経過してから計画が完了する場合、完了日の翌日から2ヶ月以内が提出期限となります。

期限までに提出をしなければ計画は失効し、助成金の受給ができなくなるので注意しましょう。

完了届と一緒に提出する書類は以下の通りです。

完了届(第1回支給申請書)に添付する書類

厚生労働省│地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引

場合によって必要書類が変わるので注意しましょう。

フォーマットが用意されている書類は、以下からダウンロードして下さい。

申請前に一度労働局へ書類が足りているかチェックしてもらうことをおすすめします。

期限に余裕を持って申請するようにしましょう。

3.地域雇用開発助成金の活用事例

地域雇用開発助成金の活用事例

ここまで地域雇用開発助成金について、詳しく確認してきました。

しかし、実際どのように活用すれば良いか分からないという経営者もいるかもしれません。

そこで、以下のような事業者が地域雇用開発助成金を活用するときの事例を確認しましょう。

  • 中小企業事業者である
  • 過疎等雇用改善地域に事業所を持つ
  • 地元に住む5人の従業員を確保した
  • 事業所の設置・整備に500万円使った

このとき、支給額を表で確認してみましょう。

地域雇用開発助成金の支給額

厚生労働省│地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引

設置・設備費用300万円以上1,000万円未満・対象労働増加人数5〜9人に当てはまるので、支給額は76万円となります。

また、中小企業であれば1回目の受給に限り、1/2が上乗せされるので以下のように計算しましょう。

76万円+76万円×1/2=114万円

2回目・3回目の受給は、表通り76万円となるので注意しましょう。

4.地域雇用開発助成金をより多く受給するためのポイント

地域雇用開発助成金をより多く受給するためのポイント

ここまで地域雇用開発助成金について詳しく確認してきました。

経営者であれば「せっかく受給するならできるだけ多く助成されたい」と思いますよね。

そこで、地域雇用開発助成金をより多く受給するためのポイントを見ていきましょう。

地域雇用開発助成金をより多く受給するためのポイントは、3つあります。

  1. 設備や施設への投資費用を高くする
  2. 雇い入れる人数を増やす
  3. 2回目・3回目の受給をする

詳しく確認していきましょう。

ポイント1.設備や施設への投資費用を高くする

設備や施設への投資費用を高くすれば、助成額も比例して高くなります。

そのため、雇用創出や雇用の定着に必要なことはこの機会に行っておきましょう。

いずれ必要になるのであれば、経費として盛り込み申請してしまうのです。

ただし、5,000万円以上の経費を使っても助成額は増えませんので注意しましょう。

ポイント2.雇い入れる人数を増やす

助成金の受給額は、雇い入れる人数によっても左右されます。

増加人数が3〜4人の場合、5人〜9人の場合、10人〜19人の場合、20人以上の場合で、助成額が変わるのです。

地域雇用開発助成金の目的は、「求職者の雇用機会を増やすこと」なので、多く雇用をしている事業者に多くの助成金が支払われます。

ただし、20人以上の雇用を行っても助成額はそれ以上増えないので注意しましょう。

ポイント3.2回目・3回目の受給をする

地域雇用開発助成金は、最大3回まで受給ができます。

2回目・3回目の受給時期は以下のように定められています。

2回目以降の支給申請

厚生労働省│地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引

2回目・3回目の受給をするためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 被保険者数の維持
  • 対象労働者数の維持
  • 対象労働者の定着

これらを1年間満たし続けなければ、2回目・3回目の受給はできません。

2回目・3回目の支給申請には以下の書類が必要です。

労働局長が他の書類の提出を求めることもあるので、期限に余裕を持って申請しましょう。

5.地域雇用開発助成金を申請するときの注意点

地域雇用開発助成金を申請するときの注意点

地域雇用開発助成金の申請方法や受給額を大きくする方法を見てきました。

しかし、注意点を知っておかなければ思っていた通りの助成金を受給できないかもしれません。

以下の2つの注意点を事前に知っておきましょう。

  1. 経費に1回20万円以上の支払いが必要
  2. 経費総額が300万円以上でなければならない

詳しく確認していきましょう。

注意点1.経費に1回20万円以上の支払いが必要

20万円以上の支払いがなければ、対象経費として認められません。

たとえば、以下のように定められているので注意しましょう。

工事の場合 1契約の支払額が20万以上の工事であること
不動産の購入の場合 1契約の支払額が20万円以上であること
動産の購入の場合 1点の支払額が20万円以上であること
不動産の貸借の場合 1契約の支払額が20万円以上であること
動産の貸借の場合 1点の支払額が20万円以上であること

特に、動産の購入や貸借の場合は、1点当たりの支払額が20万円以上となっています。

対象経費の例

厚生労働省│地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引

このように、動産の貸借の場合は月額費用×計画期間でかかった費用を算出します。

計画期間に支払っている額が20万円を満たない場合は、対象経費として認められません。

厳密に金額を計算し、対象経費として認められるのかチェックしましょう。

注意点2.経費総額が300万円以上でなければならない

経費総額が300万円以上でなければ、助成の対象となりません。

できるだけ経費を抑えたいところですが、雇用拡大のために必要な事業に用に供する設置い・整備に要した費用の総額が300万円以上であることが必要だと条件に明記されています。

「経費として認められる」と思っていても対象でなければ300万円の中に含めることができません。

たとえば、以下のような経費は認められていません。

  • 玄関・トイレ・庭など雇用拡大のために使われていない工事費
  • 特許権・商標権・実用新案権・意匠権などの取得費
  • フランチャイズ等の加盟料・ロイヤリティの購入費
  • 事業のために使う車両でない車両やそのための駐車場代金
  • 不動産登記の手数料

このように、雇用拡大のために必要な経費だと認められなければ、20万円を超えていても対象となりません。

考えている経費が対象経費として認められるのかをしっかりチェックしておきましょう。

6.地域雇用開発助成金なら井上社労士事務所へご相談ください

井上社労士事務所のホームページ

地域雇用開発助成金を申請しようかと悩んでいるのであれば、井上社労士事務所に一度ご相談ください。

地域雇用開発助成金の受給要件は、他の助成金と比べても細かく設定されています。

そのため、助成金に馴染みのない経営者は理解するために時間がかかってしまうかもしれません。

また、対象経費になるという判定も厳密に行われます。

せっかく計画を立てて助成金を受給するつもりで計画を実行していても、経費として認められなければ受給条件を満たせていないと判断されてしまうのです。

井上社労士事務所は、地域雇用開発助成金にもよく精通しています。

「どうすれば受給できるか」だけでなく、「どうすれば受給額が最大化できるか」というアドバイスをいたします。

地域雇用開発助成金の対象エリアで事業を行っているのであれば、地域雇用開発助成金を活用しないのは非常にもったいないです。

まずは「自社が要件に合うか」といった初歩的な質問でも構いません。

LINEでお気軽にご相談ください。お待ちしております。

まとめ

地域雇用開発助成金とは、過疎化地域で従業員を新しく雇ったときに受給できる助成金のことです。

対象地域で事業を行っているなら、積極的に活用したい助成金と言えます。

自社の人材を確保しながらも、過疎化地域を活性化していきましょう。