中途採用等支援助成金とは?3つのコースの給付額や要件をチェックしよう
「中途採用等支援助成金ってどんな助成金なの?」と気になっていますね。
中途採用等支援助成金とは、中途採用による雇用創出に対して受給できる助成金です。
中途採用だけでなく、自分自身が起業して雇用を生み出すことに対しても助成されます。
比較的、要件が緩い助成金なので受給できる事業主は多いです。
今回は中途採用等支援助成金の3つのコースごとの給付額や要件、受給手続きの流れを分かりやすく解説します。
申請を通すためのポイントも確認し、中途採用の拡大を目指しましょう。
1.中途採用等支援助成金とは
中途採用等支援助成金とは、中途採用による雇用創出に対して受給できる助成金です。
雇用を生み出すことを促進するために作られた助成金となっています。
一方で、少子化の加速によって人材確保が難しくなっている中小企業は多いです。
採用にかける費用が足りず、人材不足に悩まされる中小企業は少なくありません。
このような現状の中、中途採用等支援助成金を活用することで中途採用の採用を積極的にできるようになります。
比較的、要件が緩い助成金なので受給できる事業主は多いです。
要件に当てはまるのであれば、積極的に活用したい助成金でもあります。
次の章で、中途採用等支援助成金の要件や給付額などを詳しく見ていきましょう。
2.中途採用等支援助成金の3つのコース
中途採用等支援助成金には、行った事業内容・施策によって3つのコースが用意されています。
コース名 | 事業内容 |
中途採用拡大コース | 雇用管理制度を整備した上で、中途採用社の採用を拡大する事業主に助成する |
UIJターンコース | 地方創生推進交付金を活用して移住支援制度を利用したUIJターン者を採用した中小企業の事業主に助成する |
生涯現役起業支援コース | 40歳以上の中高年齢者が起業し、従業員を雇用した場合に助成する |
事業内容によって活用できるコースが異なります。
それぞれ給付額や要件、手続き内容が違うので見ていきましょう。
(1)中途採用拡大コース
中途採用拡大コースは、雇用管理制度を整備した上で、中途採用社の採用を拡大する事業主に対して助成されます。
次のどちらかの事業を行うことで助成されるのです。
①中途採用拡大助成 | 中途採用社の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大(中途採用率の拡大or45歳以上の方の初採用)を行う事業主を助成する |
②生産性向上助成 | 中途採用拡大助成の支給を受けた事業主の内、一定期間経過後に精算性が向上したと認められた事業主に助成する |
詳しい給付額や要件を見ていきましょう。
給付額
給付額は、行った事業によって異なります。
①中途採用拡大助成 | A.中途採用率の拡大 | 1事業所あたり50万円または70万円 ※中途採用率によって額が変動します。 |
B.45歳以上の方の初採用 | 1事業所あたり60万円または70万円 ※雇用時の年齢が60歳以上の対象労働者がいる場合は、70万円 |
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②生産性向上助成 | A.中途採用率の拡大 | 1事業所当たり25万円 |
B.45歳以上の方の初採用 | 1事業所当たり30万円 |
それぞれどのような要件を満たせば助成されるのか確認しましょう。
要件
まず、以下のすべての条件にあてはまる対象労働者を雇用する必要があります。
- 申請事業主に中途採用で雇用された人
- 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用された人
- 期間の定めのない労働者として雇用された人
- 雇用日の前日から起算してその日以前1年間、雇用関係がなかった人
- 雇用日の前日から起算してその日以前1年間、申請事業者との関係がなかった人
対象労働者を雇用した上、さらに以下のいずれかによって中途採用の拡大を図る必要があります。
- 中途採用率60%未満の事業所が対象労働者を2人以上雇用し、中途採用率を中途採用計画期間前と比べて20ポイント以上向上させること
- 45歳以上の方を中途採用した実績のない事業所が、中途採用計画期間中に45歳以上の方を初めて中途採用させること
さらに、中途採用計画を労働局に提出する必要があります。
提出方法については、受給手続きの流れで詳しく確認しましょう。
受給手続きの流れ
受給の流れは、次の3つの流れに従って行いましょう。
- 中途採用計画の届出
- 計画内容の実行
- 中途採用拡大助成支給申請
- 生産性向上助成支給申請
詳しく見ていきましょう。
①中途採用計画の届出
まず、中途採用計画を作例しましょう。
中途採用計画は、計画初日の前日から6ヶ月前〜計画初日の前日までに労働局へ提出します。
このとき、必要な書類は以下の通りです。
- 中途採用計画(変更)届
- 中途採用計画
- 採用規定・就業規則・賃金規定・人事評価規定など、中途採用社に適用される雇用管理制度が確認できる書類
- 中途採用率算定対象一覧
中途採用計画は念入りに作成しましょう。
②計画内容の実行
中途採用計画に記入した内容を実行しましょう。
このとき、計画内容と違うことを実施すると助成金は受給できません。
変更がある場合は、提出した労働局へ問合せをしましょう。
③中途採用拡大助成支給申請
計画終了から6ヶ月経過する日の翌日から2ヶ月以内に中途採用拡大助成支給申請をしましょう。
たとえば、2月20日に計画終了をしたなら10月20日が支給申請の期限となります。
支給申請には、以下の書類が必要です。
- 支給申請書
- 支給対象社雇用状況等申立書
- 採用規定・就業規則・賃金規定・人事評価規定など、中途採用社に適用される雇用管理制度が確認できる書類
- 雇用契約書など、支給対象者のこ曜日と期間の定めのない労働者であることが確認できる書類
- 支給対象者のこ曜日から支給申請日までに支払え割れた賃金の詳細がわかる賃金台帳
- 支給対象者の雇用開始月の出勤簿
- 中途採用率算定対象者一覧
しっかり期限を守って申請しましょう。
④生産性向上助成支給申請
事業を実行した年度の3年後の会計年度末日の翌日から5ヶ月以内に生産性向上助成の支給申請をしましょう。
たとえば、令和2年度に事業を実行したのであれば、3年後の令和5年度の会計年度末日から5ヶ月後以内が期限となります。
申請の際に必要な書類は以下の通りです。
- 支給申請書
- 支給決定通知書
- 採用規定・就業規則・賃金規定・人事評価規定など、中途採用社に適用される雇用管理制度が確認できる書類
- 支給対象者のこ曜日から支給申請日までに支払え割れた賃金の詳細がわかる賃金台帳
- 対象中途採用者一覧
生産性向上助成の支給申請の期限は、実行から時間が経ってから申請します。
期限を忘れないようしっかりスケジュール管理をしましょう。
(2)UIJターンコース
UIJターンコースは、地方創生推進交付金を活用して移住支援制度を利用したUIJターン者を採用した中小企業の事業主に助成されます。
UIJターンとは、それぞれ就職者のことです。
Uターン | 地方から都市に移住した人が再び故郷に戻って就職する人 |
Iターン | 生まれ育った地方から都市に移住した人が、故郷に近い地方都市に移住して就職する人 |
Jターン | 都市部から出身地とは違う地方へ移住して就職する人 |
このように、東京一極化している人口を分散させ地方での就職者を増やすことが目的とされています。
具体的には、以下のような経費に対する助成がなされるのです。
- 募集・採用パンフレットなどの作成・印刷経費
- 自社ホームページの作成・改修経費
- 就職説明会・面接会・出張面接などの実施経費
- 外部専門家によるコンサルティング経費
以上のような、UIJターン者を採用するための必要経費に対して助成されます。
具体的な給付額や要件、受給手続きの流れを見ていきましょう。
給付額
給付額は、助成対象経費の合計額に対して助成率を乗じた額です。
中小企業 | 中小企業以外 | |
助成率 | 1/2 | 100万円 |
上限額 | 1/3 | 100万円 |
このように、中小企業かそれ以外かで助成率が異なります。
また、どれだけ経費がかかったとしても上限額は100万円です。
100万円以上は受給できないので注意しましょう。
要件
以下の対象となる労働者を1人以上雇用すれば、受給の対象となります。
- 東京圏からの移住者である
- 地方公共団体が開設するマッチングサイトに掲載された求人に応募していること
- 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用されること
- 継続して雇用する労働者として雇用されること
- 雇用後、6ヶ月以上雇い続けられること
さらに、採用計画書を提出する必要があります。
受給手続きの流れで詳しく確認しましょう。
受給手続きの流れ
(厚生労働省│中途採用等支援助成金(UIJターンコース)のご案内)
受給手続きは、以下の3つのステップに分けることができます。
- 採用計画書の提出
- 採用活動・雇用
- 支給申請の提出
詳しく見ていきましょう。
①採用計画書の提出
まずは、採用計画書を労働局に提出しましょう。
計画期間が始まる3ヶ月以内〜前日までに提出する必要があります。
たとえば、9月1日を計画開始日とするのであれば、6月2日〜8月31日までに提出しなければなりません。
提出書類は以下の通りです。
- 計画書
- 事業所の事業概要がわかるもの(パンフレット、組織図)
期限を守って提出するようにしましょう。
②採用活動・雇用
提出した計画通りに採用活動を進め、UIJターン者を雇用しましょう。
計画期間は6ヶ月以上12ヶ月以内となっています。
必ず計画期間内に対象労働者の雇用を実行しましょう。
③支給申請の提出
計画期間終了日から2ヶ月以内に支給申請を提出しましょう。
ただし、このとき雇用日から6ヶ月を経過している必要があります。
もし、雇用日から6ヶ月経っていない場合は、6ヶ月経過後から2ヶ月以内に提出しましょう。
たとえば、2月1日に計画期間終了日を迎えた場合、4月1日が提出期限です。
しかし、2月1日が雇用日となっているのであれば、8月1日〜9月30日の間に支給申請を行うことになります。
支給申請の際には、以下のような書類を一緒に提出しましょう。
- 支給申請書
- 助成額算定書
- 対象労働者雇用状況等申立書
- 認定通知書
- マッチングサイトに移住支援金対象求人を掲載したことが分かる書類
- 対象労働者の雇用契約書又は雇入通知書
- 対象労働者の雇入れ日から6ヶ月間の賃金台帳
- 対象労働者の雇入れ日から6ヶ月間の出勤簿
- 対象労働者の移住支援金の受給を証する書類
- 対象経費の支払の発生原因が確認できる書類(請求書や見積書など)
- 対象経費の支払を確認できる書類(振り込み明細など)
- 資本の額又は出資の総額を記載した書類等(登記簿謄本など)
必要書類が多いため、抜け漏れがないよう注意しましょう。
(3)生涯現役起業支援コース
生涯現役起業支援コースは、40歳以上の中高年齢者が起業し、従業員を雇用した場合に助成されます。
起業することで自らの雇用を産み出し、さらに従業員の雇用を生み出すことで経済を活性化させることが目的です。
雇用創出措置にかかった経費が助成対象となります。
雇用創出措置にかかる費用とは以下のような経費のことです。
募集・採用に関する費用 |
|
教育訓練に関する費用 | 従業員が会社で働いていくために必要なスキルを習得させるための資格取得や講習に必要な費用 |
給付額や要件、受給手続きの流れについて見ていきましょう。
給付額
給付額は、雇用創出措置に係る費用に以下の助成率をかけた額です。
起業時の年齢 | 40歳〜59歳 | 60歳以上 |
助成率 | 1/2 | 2/3 |
上限額 | 150万円 | 200万円 |
起業時の年齢によって給付額が変わるので注意しましょう。
要件
主な要件は以下の通りです。
- 事業持続性の確認として以下の4つの項目のうち2つ以上該当していること
① | 起業者が国・地方公共団体・金融機関などの実施する創業セミナーなどの支援を受けていること |
② | 起業者が当該事業分野において通算10年以上の職務経験があること |
③ | 企業に当たって金融機関の融資を受けていること |
④ | 法人または個人事業主の総資産額が1,,500万円以上で負債額の割合が60%未満であること |
- 計画期間内に、対象労働者を一定数雇用すること
60歳以上 | 1名以上 |
40歳以上60歳未満 | 2名以上 |
40歳未満 | 3名以上 |
基本的には、以上の2つが要件となっています。
さらに、雇用創出措置に係る計画書の提出も必要です。
次の受給手続きの流れで詳しく確認しましょう。
受給手続きの流れ
受給手続きは、以下の4つのステップに分けることができます。
- 雇用創出措置に係る計画書の作成・提出
- 従業員の採用
- 雇用創出措置に係る支給申請書の提出
- 生産性向上に係る支給申請書の提出
詳しく見ていきましょう。
①雇用創出措置に係る計画書の作成・提出
まずは、雇用創出措置に係る計画書を作成し、管轄の労働局へ提出しましょう。
雇用創出措置に係る計画書の提出は、起業日から11ヶ月以内に提出しなければなりません。
計画期間は12ヶ月以内に設定し、計画書提出の1ヶ月後〜2ヶ月以内を計画開始日とします。
雇用創出措置に係る計画書の提出の際、以下のような書類が必要です。
提出期限をしっかり守りましょう。
②従業員の採用
提出した雇用創出措置に係る計画書の内容通り、従業員の採用を実行しましょう。
従業員の採用人数は、年齢によって必要人数が変わります。
60歳以上 | 1名以上 |
40歳以上60歳未満 | 2名以上 |
40歳未満 | 3名以上 |
計画的に採用を実行し、確実に受給をするようにしましょう。
③雇用創出措置に係る支給申請書の提出
計画期間終了日の翌日から2ヶ月以内に、雇用創出措置に係る支給申請書を提出しましょう。
必要な書類は以下の通りです。
事業者によっては、さらに書類が必要になる場合もあります。
事前に労働局へ確認しておきましょう。
④生産性向上に係る支給申請書の提出
助成されことによって生産性向上が認められれば追加で助成されます。
雇用創出措置に係る計画書を提出したときの会計年度と、その3年ど経過後の会計年度の生産性を比較してその伸び率が6%以上であれば追加で助成額の1/4を支給されます。
たとえば、100万円の支給された時条件を満たしていれば25万円が追加で支給されるのです。
条件を満たすのであれば、以下の書類を揃えて生産性向上に係る支給申請書の提出しましょう。
さらに追加で書類を求められることもあります。
期限に余裕を持って申請に行きましょう。
4.中途採用等支援助成金を受給するためのコツ
ここまで中途採用等支援助成金について、詳しく確認してきました。
しかし、申請すればどんな事業者でも助成金を受給できるわけではありません。
中途採用等支援助成金を受給するためのコツを事前に抑えておきましょう。
中途採用等支援助成金を受給するためのコツは、以下の2つの通りです。
- 計画書に時間をかける
- 分かりやすい申請書を作成する
順番に確認しましょう。
コツ1.計画書に時間をかける
計画書に時間をかけましょう。
というのも、申請した計画書から変更があると手続きがややこしくなるからです。
できるだけ、申請した計画の内容通りに事業を実行することで、受給しやすくなります。
一度労働局で認められた計画書から内容を変更する場合、変更届を出さなければなりません。
この際、「なぜ計画通りにいかなかったのか」「次に立てた計画はきちんと実行できるのか」という点を追及されます。
また、何度も変更届を出すことはできません。
そのため、綿密に実行できる計画書を初めから作成する必要があるのです。
しっかり時間をかけて、実行できる内容であるかを見極めましょう。
コツ2.分かりやすい申請書を作成する
支給のための申請書は、分かりやすく作成しましょう。
ダラダラ書いたり、要点を省くと、計画通りに実行できたのかが分かりません。
あなたの事業所のことを知らない人が申請書を読んでも理解できるよう、記載しましょう。
特に申請書の書き方に指定はありません。
しかし、相手に伝わりやすいよう箇条書きにするなどの工夫をしてみましょう。
書き方が分からなかったり、不安に思うのであれば、専門家に頼るのも手です。
分かりやすく通りやすい申請書を作成してもらいましょう。
5.中途採用等支援助成金なら井上社労士事務所にご相談ください
「中途採用等支援助成金を活用して中途採用者を増やしたい」と考えているのであれば、一度井上社労士事務所へお問い合わせください。
井上社労士事務所であれば、どのように計画書を書き、計画を実行すれば最大額を受給できるかアドバイスいたします。
人材確保には、一定のコストがかかってしまうものです。
うまく中途採用等支援助成金を活用できれば、大きく経費削減が実現します。
しかし、「そもそも受給対象かわからない」「どうやって計画書を書いたら良いかわからない」と助成金に馴染みのない経営者もいらっしゃるでしょう。
井上社労士事務所なら、初歩的な質問でもLINEで気軽にご相談いただけます。
もちろん相談料は無料です。
どんな質問でも大歓迎ですので、一度お問い合わせください。
まとめ
中途採用等支援助成金とは、中途採用による雇用創出に対して受給できる助成金です。
中途採用だけでなく、自分自身が起業して雇用を生み出すことに対しても助成されます。
比較的、要件が緩い助成金なので受給できる事業主は多いです。
要件に当てはまるのであれば、積極的に助成金を活用して中途採用の拡大を目指しましょう。