雇用調整助成金の記入例を計画書ごとに解説!
「雇用調整助成金の記入例をスムーズに終わらせたい」
多くの事業主がコロナウイルスの影響により、雇用調整助成金の計画書の書き方について悩んでいることでしょう。
その様な悩みを抱えた方向けに、今回雇用調整助成金の記入例を解説します。
また必要になる書類関係や、コロナショック中の雇用調整助成金の申請の流れなども紹介します。
この記事で雇用調整助成金の知識を深めることができると思いますので、是非参考にしてみてください。
1.雇用調整助成金の記入例
雇用調整助成金を支給されるには、いくつかの記入用紙を書く必要があります。
その中から、特に面倒な4つの記入例を解説します。
- 休業協定書の記入例
- 雇用調整助成額算定書の記入例 様式特第8号
- 雇用調整助成金(休業等)支給申請書の記入例 様式特第7号
- 休業等実施計画届の記入例 様式第1号(1)
この4つの記入例を是非参考にしてみてください。
1−1.休業協定書の記入例
休業協定書の記入例は以下の順番通りとなっていますので、是非参考にしてみてください。
休業の実施予定時期等
休業を実施する予定日を〇の中に記載し、また休業別に記入する必要があります。
他にも短時間休業の場合にも、その休業時間を記入しましょう。
休業時間数
休業する時間帯に合わせて〇の中に記入してください。
休業の対象者
- 全従業員には、○○部の従業員、○○工場の従業員と限定しても問題ありません。
- 休業日の休業人数には、各休業日ごとに何人ずつ休業対象とするかになります。
- 輪番には、なるべく特定の人物のみに限定させないようにしましょう。
休業手当額の算定基準
この項目につきましては、給与規定等を定める必要があり、定めていないのであれば協定で定める必要があります。
給与規定以外の基準で定めている場合は、その旨を記入しましょう。
また労働基準法26条により、定める平均賃金の60%の基準を下回ることはできません。
雑則
〇の中に協定の発効日と失効日を記入しましょう。
その他
計画届を提出する日付のを記入する。
協定書の最後に、提出日や申請事業主名などを記入して印を押します。
また複数の組合と協定を結ぶ場合には、全て連記する必要がありますので、注意してください。
以上が、休業協定書の記入例になります。
1−2.雇用調整助成額算定書の記入例 様式特第8号
雇用調整助成額算定書 様式特第8号の記入例は以下の順番通りとなっていますので、是非参考にしてみてください。
年度1年間の雇用保険の保険料の算定基礎となる賃金総額
労働保険料時確定申告書に記入されている雇用保険分の賃金総額を記入しましょう。
前年度1年間の1箇月平均の雇用保険被保険者数
被保険者数の平均人数を記入する必要があります。
その算出期間は、前年度のうち各月の月末人数となります。
前年度の年間所定労働日数
労働日数が違う場合は、それぞれの部署の労働日数から算出し、複数の部署がある場合はその平均が所定労働日数になります。
小数点以下が出た場合は、切り下げ処理しましょう。
平均賃金額
上記の『(1) /((2)×(3))』で計算して記入します。
小数点以下が出た場合には、切り上げ処理しましょう。
休業手当等の支払い率
支払い率の計算は、以下の2つに別れます。
- 就業規則や休業等協定などで決まっている休業手当の支払い率
- 教育訓練中の賃金の支払い率
基準賃金額
上記の『(4)×(5)』で計算して記入します。
支払い率が違う場合は、低い方を基準にしましょう。
1人日当たり助成額単価
上記の『(6)×助成率(企業規模)』で計算して記入します。
助成率は大企業の事業主は2/3であり、解雇を行わない場合は3/4です
中小企業の事業主は4/5であり、解雇を行わない場合は10/9になるので注意しましょう。
また基本手当日額の最高額を超える時は、最高額15,000円になります。
月間休業等延日数
様式特第9号の⑧と⑫、⑩の欄から転記する必要があります。
教育に係る加算額
計算方式は、上記の『(8)×加算額(大企業は18,00円、中小企業は2,400円)』になります。
支給を受けようとする助成額
休業の場合には、上記の『(7)×(8)』の計算になります。
教育訓練を行った場合には、上記の『(7)×(8)+(9)』になります、
小計
小計は上記の(10)になります。
合計
合計は、上記の(11)になります。
この助成額算定書の記入が2回目以降であれば、上記の(1)~(4)は省略しても問題ありません。
また各欄の端数については、上記の(4)及び(6)~ (8)は切り上げにして、(2)、(3)欄は小数点以下を切り捨てましょう。
以上が、 助成額算定書の記入例になります。
1−3.雇用調整助成金(休業等)支給申請書の記入例 様式特第7号
雇用調整助成金(休業等)支給申請書 様式特第7号の記入例の記入例は以下の順番通りとなっていますので、是非参考にしてみてください。
休業等実施事業所
- (1)名称
- (2)所在地
- (3)事務担当者職氏名
- (4)事業の種類
- (5)賃金締切日(a毎月・bその他)
- (6)対象労働者数
休業等実施事業所には、上記の内容を記入する必要があります。
上記の中で注意点を上げるとすれば、まず(5)賃金締切でしょう。
賃金締切日が毎月一定期日で定められているのであれば、(a)を〇で囲み、日数を記入する必要があります。
次に(6)の対象労働者数ですが、その数は休業を実施する事業所の被保険者になります。
ですが、解雇を予告された被保険者や、退職願を提出した被保険者、事業主による退職推奨に応じた者、また日雇労働者などは数に入りません。
休業等の規模
- (1)月刊休業延日数『様式特第8号の(8)①②の日数計』
- (2) 月間教育訓練延日数 『様式特第8号の(8)③』
- (3)月間休業等延日数『(1)+(2)』
- (4)月間所定労働延日数
- (5)月間教育訓練延日数『(4)/①(6)』(少数点第2位以下切り捨て)
- (6)休業規模『(3)/(4)×100』(少数点第2位以下切り捨て)
休業規模には、上記の内容を記入する必要があります。
上記の注意点を上げるとすれば、(6)休業規模でしょう。
合計値によっては助成金が受けられなくなります。
助成金の対象になるには、大企業の事業主ならば合計値が3.3以上必要であり、中小企業の事業主ならば合計値が2.5以上必要になります。
助成額の算定
- (1)助成対象者となる月間休業延日数(様式特8号の(8)①②の日数計)
- (2)助成対象者となる月間教育訓練延日数(様式特8号の(8)③)
- (3)助成対象となる月間休業延日数『(1)+(2)』
- (4)支給を受けようとする助成金額(休業)(様式第8号の(11)④の額)
- (5)支給を受けようとする助成金額(教育訓練)(様式第8号の(11)⑤の額)
- (6)合計額『(4)+(5)』
助成額の算定には、上記の内容を記入する必要があります。
上記の注意点を上げるとすれば、様式特8号の参照が多いため、様式特8号の記入ミスが無ければ特に問題ありません。
以上が雇用調整助成金(休業等)支給申請書の記入例になります。
他にも支払方法などの項目もありますが、そこは金融機関名と支店名の記入漏れなどがなければ大丈夫です。
1−4.休業等実施計画届 記入例 様式第1号(1)
休業等実施計画届 様式第1号(1)の記入例は以下の順番通りとなっていますので、是非参考にしてみてください。
届出事業主の状況
- (1)資本の額又は出資の総額
常時雇用する労働者の数 - (2)主たる事業(小売業・サービス業・飲食業・卸売業・その他)
- (3)対象期間 事業主が指定した日(始期)~(終期)
- (4)前回の対象期間
届出事業主の状況には、上記の内容を記入する必要があります。
上記で注意するのならば、(1)資本の額又は出資の総額・常時雇用する労働者の数でしょう。
常時雇用する労働者の数には条件があり、2か月以上使用された者で、なおかつ週当たりの所定労働時間が該当企業の通常従業員と概ね同じである必要があります。
次に(3)対象期間についてですが、その期間は始期として指定した日から1年が対象となります。
続いて(4)前回の対象期間についてですが、(3)の対象期間である始期の前日より過去2年間の間に前回の終期が属する場合のみ記入する必要があるので、今回初めてという方は記入しなくても大丈夫な項目ということですね。
休業等実施事業所
- (1)名称 ○○工業株式会社等
- (2)所在地
- (3)事務担当者職・氏名
- (4)賃金締切日『a(毎月 末日) bその他』
休業等実施事業所には、上記の内容を記入する必要があります。
上記で注意するのならば、(4)賃金締切日でしょう。
賃金締切日が毎月一定の期日に定められているとすれば、(a)を〇で囲み、日付を記入する必要があります。
休業内容
- (1)休業予定日
- (2)休業予定の対象労働者実人員
- (3)休業予定日数
休業内容には、上記の内容を記入する必要があります。
上記で注意するのならば、(2)休業予定の対象労働者実人員でしょう。
記入するべき休業予定の実人員数は、雇用保険被保険者である必要があります。
次に(3)休業予定日数についてですが、休日を予定する実日数には、1時間以上行われる休業も1日として該当するので、注意してください。
教育訓練予定日
- (1)教育訓練予定日
- (2)教育訓練予定の対象労働者実人員
- (3)教育訓練予定日数
- (4)教育訓練内容
- (5)教育訓練実施予定施設
教育訓練予定日には、上記の内容を記入する必要があります。
上記で注意するのならば、(4)教育訓練内容でしょう。
どのような技術向上訓練なのか、また得られる専門知識は何なのかなどを記入する必要があります。
2.計画届の提出と支給申請に必要な書類
計画届と支給申請に必要な書類をそれぞれ紹介します。
合計8種類ありますので、雇用調整助成金を申請する方は一度確認してみてください。
2−1.計画届の提出に必要な書類
- 休業等実施計画 様式第1号(1)
- 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書 様式特第4号
- 休業協定書
- 教育訓練協定書
以上4種類が、計画届の提出に必要になります。
この記事では、休業等実施計画 様式第1号(1)と休業協定書について記入例がありますので、そちらを是非参考にしてみてください。
2−2.支給申請に必要な書類
- 支給要件確認申立書(雇用調整助成金) 様式特第6号
- 休業・教育訓練実績一覧表 様式特第9号
- 雇用調整助成金助成額算定書 様式特第8号
- 雇用調整助成金(休業等)支給申請書 様式特第7号
以上の4種類が、支給申請の提出に必要になります。
この記事では、雇用調整助成金助成額算定書 様式特第8号と雇用調整助成金(休業等)支給申請書 様式特第7号について記入例がありますので、そちらを是非参考にしてみてください。
3.雇用調整助成金の申請の流れ
雇用調整助成金の流れを2通り紹介します。
- 通常の流れ
- コロナショック中の流れ
それによって現在どれだけ状況が変わってしまったのか、確認することができると思います。
3−1.通常時の申請の流れ
- 休業計画。労使協定
- 計画届の提出
- 休業の実施
- 支給申請
- 労働局の審査
- 支給決定
雇用調整助成金の通常の流れは以上の通りになります。
また事業所の所在地を管轄するハローワークや都道府県労働局から計画届の提出や支給申請ができます。
他にも郵送も可能なので、直接出向くのが難し用であれば、そちらを利用するのがいいでしょう。
3−2.コロナショック中の申請の流れ
コロナっショックにより、上記の流れに加えて、特例が実施されています。
- 計画届の提出は、休業実施後の事後提出でも可能(2回目以降も含む)
- 事後提出の期限は、2020年6月30日まで
- 生活指標要件が3か月10%から1か月5%に緩和
- 助成率の増加
- 短時間休業の要件緩和
- 残業相殺を停止
などの特例措置が実施されています。
コロナショックによって、様々な条件が緩和されているので、まだ雇用調整助成金を申請していないという方は、一度自身の状況と照らし合わせてみるのはいかがでしょうか。
4.まとめ:助成金のことならお任せください!
雇用調整助成金の申請は個人でも可能ですが、専門家である社労士に依頼するのが確実です。
ここまでの記事を見て、雇用調整助成金の記入例や必要書類、申請の流れなどをおおよそ理解できたと思います。
しかし、これまで雇用調整とは無縁だった方が多く、記入ミスなどの可能性や、複雑な申請に多大な労力と時間がかかってしまうことでしょう。
そこで助成金のプロである社労士に依頼をすれば、その時間と労力を他のことに回すことができ、とても効率的です。
社労士選びに迷った方は、『井上社労士事務所』が相談に乗りますのでお気軽にお問い合わせください!