介護施設を経営していくために必要な資格と受給可能な助成金とは?
介護施設の経営についてお調べですね。 施設を上手く経営していくためも、必要な資格についてはしっかりと理解しておきたいですよね。
この記事では、必要な資格だけでなく、経営についての課題やポイント、受けることができる助成金や融資についてご説明しています。
開業しようとお考えの場合は、ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。
1.介護施設の開業に必要な資格とは
介護事業を開業するには『サービス提供責任者』の存在は規則上、必須となっています。
では、『サービス提供責任者』になるためにはどのようにすればよいのでしょうか。
もしあなたが介護職員初任者研修(旧・ホームへルパー2級)資格を持っているなら、実務経験を3年以上務めれば、サービス提供責任者になることが可能です。
ただし、介護職員初任者研修資格者がサービス提供責任者になった場合、介護報酬が10%減算されてしまうので注意しましょう。
ただでさえ経営資金が潤沢でない場合は、介護報酬の減算は致命的とも言えます。
そのため、可能であれば実務者研修以上の資格を持った職員を雇っていた方が事業の安定化を図ることができます。
他にも、以下の資格からでもサービス提供責任者になることも可能となっています。
- 介護福祉士
- 看護師
- 准看護師
- 保健師
- 介護福祉士
- 実務者研修
これらの有資格者をできるだけ集めて開業することを目指しましょう。
1-1.介護福祉士
介護福祉士は、ケアワーカーとも呼ばれる国家資格です。
介護施設や病院だけでなく、障害者施設などの介護に関するほぼすべての施設で必要な専門知識と技能を身につけた、介護のプロフェッショナルといえます。
介護者とその家族に対する介護指導や福祉用具の提案といったサポートが可能なため、福祉の現場における介護福祉士の需要は今後も増加の一途を辿ると言われています。
1-2.看護師
看護師は、正看護師と呼ばれる国家資格です。
各種医療機関や保健・福祉施設において医師の指示を受けて、医療行為を含む診療の補助や援助を担当ます。
看護師の特徴として、全国的にも求人数が多いことから、一度資格を取得してしまえば容易に復職できるという点で、育児後の再就職することが一般的です。
1-3.准看護師
准看護師は、正看護師とほぼ同様の国家資格です。
正看護師免許は『厚生労働大臣』によって発行されるのに対して、准看護師免許は『都道府県知事』によって発行されるという点で違いがありますが、実際に従事する業務内容に大きな差はありません。
大きな違いとしては、受験資格の要件です。
正看護師は、高校を卒業した上で看護短期大学や看護専門学校に3年通っていることが条件となり、准看護師は中学校を卒業した上で准看護師養成所に2年通うというのが最短ルートになります。
1-4.保健師
保健師は、保健指導をメインで行う国家資格です。
保健指導とは、暮らしの中で感じる健康的な不便の有無や、体調面で心配事の有無といった相談にのったり、生活指導をしてくれたりすることを主業務にしています。
このような個人から受ける相談だけでなく、企業に従事する従業員や地域住民などのコミュニティ全体の健康を推進するという役目も担っているため、全ての人々が健康的な生活を送るためのサポートをするという、大きな役割を持った資格です。
1-5.介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、すでに廃止された『ホームヘルパー1級』の後継にあたる資格として制定された国家資格です。
質の高い基本的な介護提供能力を修得しているため、介護の現場のエキスパートといえます。
受験資格は『実務者研修の受講・修了』が必須となっており、2年以上の養成課程を持つ介護福祉士養成校での研修が必要となり、『実務者研修』という略称で記載されている場合もある資格です。
2.経営していく上で持っていると便利な資格は?
介護事業の開業に必須資格についてはご説明しましたが、開業をしてから事業を継続するためには、他にもさまざまな有資格者を職場に取り入れる必要があります。
必須ではないにしても、幅広いサービスを提供できることは、その介護施設の魅力にも繋がりますので、積極的に雇用していくようにしましょう。
あった方が便利な資格の一例をご紹介します。
2-1.社会福祉士・精神保健福祉士
この資格保有者がいれば、生活相談員としての活躍が期待できます。
施設利用者やその家族、各事業所との連絡や調整といった役回りを担当してくれるので、事業を運営するにあたっての潤滑剤的な役割を担ってくれるのです。
2-2.管理栄養士・調理師
利用者が毎日口にする食事を健康面からサポートすることができます。
豊富な知見を活用して、料理の質を向上させたり、食材費用の節約についての助言をもらえたりという点で大きな活躍が期待できるでしょう。
2-3.理学療法士・柔道整復師
介護者のリハビリまでもサポートしたいのであれば、これらの資格保有者がいれば可能です。
病院から転院してくる場合、リハビリ機能があるかどうかで介護施設を選ぶご家族も多いので、少しでも早く回復して日常生活に復帰して欲しいと願うご家族のご意向に沿うことができます。
3.介護施設を経営する上での課題とは
介護業界は、その需要の高まりに反して非常に厳しい状況に置かれており、その原因として以下の3つが挙げられます。
- 介護報酬ダウン
- 介護人材不足
- 介護レベル低下(事故、虐待)
経営者として、この課題に対してどのような対策が必要なのでしょうか。
介護の現場は時間的な拘束の長さや肉体的かつ精神的な重労働に反して給料が低いことから、参入してくる人が少なく、現場にいてもモチベーションが低くなって介護レベルが下がるという悪循環を招いています。
そこで国としても給料の元となる介護報酬などの見直しが検討されるなど、改善への動きはあるものの、まだ完全とはいきません。
限られた介護報酬でどのように介護職員の給料を確保し、人材の流出を防ぐのかといった、『働きやすい環境作り』が急務となっています。
4.介護施設を上手く経営するポイント
介護報酬が少なかろうと、そもそも介護施設に入所してもらわないことには始まりません。
そのため、集客活動に力をいれていくことが重要です。
営業活動やマーケティングといったことに不慣れだからといって、待ちの姿勢を取り続けていたのでは経営は難しいでしょう。
そこで、積極的に実施して欲しいのが以下の2点です。
- ケアマネージャーへの営業活動
- 施設紹介
こまめにケアマネージャーを訪問し、自分の施設を紹介していくことでいい印象を記憶してもらうことに繋がります。
訪問時間も気をつけて、できるだけ忙しくない時間を選ぶことも重要です。
ケアマネージャーと良好な関係性が構築できれば、顧客の獲得にも繋がっていきます。
それから、他の施設とは一味違う介護施設であることをアピールすることも重要です。
例えば、『カルチャースクールが定期開催されている』や『施設の中に温泉があり、ホテルのようだ』、『リハビリができる』といった差別化を図ることで目を引くことができます。
こうした魅力をしっかりと写真付きのパンフレットにしてアピールしていくことで、集客へと繋がっていくのです。
こうして集客に注力するとともに、介護施設開設に活用できる助成金も利用していきましょう。
活用できる助成金としては、『介護基盤人材確保助成金』と『介護雇用管理助成金』があります。
『介護基盤人材確保助成金』は、介護施設の新規開設のために新規で特定労働者を雇用した場合に、1名採用あたり最大70万円(半年分)が支給されるものです。
ここでいう特定労働者は、1年以上の実務経験がある以下の資格保有者が該当します。
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 医師
- 介護福祉士実務者研修(ホームヘルパー1級)保持者
- 看護師
- 准看護師
『介護雇用管理助成金』は、従業員を募集するために実際かかった費用の半分が支給されれるものです。
具体的には、採用に関するパンフレットの作成、求人サイトや新聞の折り込みチラシなどへの登録だけでなく、就業規則や賃金規則の策定なども該当します。
この助成金の上限額は100万円です。
他にも、助成金ではなく特別な融資も受けることができます。
開設しようとしている施設が、サービス付きの高齢者向け住宅である場合に限って、『サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資』というものが利用可能です。
詳しくは、開業しようとしている地域直轄の機構窓口に相談してみましょう。
5.まとめ
今回は、介護施設を開業するにあたって必要な資格や、注意点、上手に経営するためのポイントや課題、受けられる助成金についてご説明してきました。
ただ建物を建てて営業すればよいという訳ではなく、しっかりとした条件をクリアすることで初めて経営が可能になりますので、末長くお客様に愛される介護施設として経営していくための参考にしてみてください。