雇用調整助成金不正受給の条件や罰則、詐欺被害の注意点を解説!
「雇用調整助成金を不正受給しないか心配…」
このような悩みの方向けに今回、雇用調整助成金不正受給の条件や罰則やについて解説します。
不正受給をしてしまうと、事務所名等の公表や、5年間の助成金申請不可などの重い罰則が科せられてしまいます。
ブランド名に傷がつき倒産の恐れもありますので、この機会に是非不正受給について学んでみてください。
また不正受給を煽る詐欺被害などについても解説していますので、そちらも参考にしてみてくださいね。
1.不正受給とは
不正受給とは、本来受給要件を満たしていないのにもかかわらず、助成金を受ける、或いは受けようとすることを言います。
書類申請の時点で適応され、受け取った受け取っていないなどは関係ありませんので、注意してください。
2.雇用調整助成金を不正受給したときの罰則
雇用調整助成金を不正した時の罰則などには、以下の罰則等があります。
- 事務所名等の公表
- 事務所などに立ち入り検査
- 刑事告訴される可能性
- 助成金の取り下げ・返還
不正受給をしないためにも、是非参考にしてみてください。
2−1.事務所名等を公表
雇用調整助成金を不正受給した場合、それが悪質或いは重大であれば、事務所名等を公表されてしまいます。
主に公表されるのは、以下の通りです。
- 授業主の名称
- 代表者氏名
- 事業所の名称
- 所在地
- 事業概要
- 支給決定の取り消し日
- 不正受給額
- 不正内容
これらが公表されてしまうと、信頼に大きく傷がつき、企業によってはこれまでの取引などが解消されてしまう恐れがありますので、注意してください。
2−2.事務所などに立ち入り検査
事務所などの立ち入り検査は罰則ではなく、実施計画書を提出した事務所には必ず行われます。
申請が適性であるのか判断するためなので、不正があった場合、この立ち入り検査から発覚するおそれがありますので、注意してください。
また立ち入り検査は事前連絡無しに行われることがあり、出勤簿・賃金台帳・支給要件の書類等の確認が行われます。
他にも従業員に対していくつか質問等を行い、不正が無いか判断することもあります。
事務所への立ち入り検査の際には、検査職員が『立ち入り検査証』を所持しているので、必ず確認しましょう。
雇用保険法第79条によって決まっていることなので、立ち入り検査証を持っていなければ、偽の検査職員の可能性が高いので、注意してください。
2−3.刑事告発する可能性もあり
特に悪質な方法などで雇用調整助成金を申請した者に対しては、刑事告訴等が行われる場合があります。
不正内容から、詐欺・脅迫・贈賄等の刑法に抵触していると判断されてしまいます。
2−4.助成金の取り下げ、返還
雇用調整助成金に対して不正が発覚した場合、当然ながら助成金の支給は取り下げられ、既に受け取っている場合は返還が求められます。
またこれらの取り下げ等が適応された場合、取り下げが行われた日から5年間雇用保険料を財源とする助成金が支給されなくなってしまいますので、注意してください。
3.雇用調整助成金の不正受給の時効は?
雇用調整助成金の不正自給の時効は、詐欺であれば約7年間です。
また不正受給してから5年を経過していなければ、助成金の申請ができなくなります。
その場合、以下の請求金を支払っていなければ、時効が適応されている場合を除き、助成金を新たに申請することができません。
- 不正受給した金銭の返金
- 不正受給の翌日から納付日までの年3%の延滞金
- 返還する金銭の20%に相当する額
時効が成立していなければ、これらの合計金額を支払う必要があります。
4.雇用調整助成金の不正受給の事例
雇用調整助成金の不正受給について、以下の事例2つを元に解説します。
- 事例①申請と違い休業の実施をしなかった場合
- 事例②申請と違い教育訓練中に他県に滞在していた場合
この2つはコロナウイルス流行前の事例ですが、流行中の現在でも十分当てはまる事例なので、是非参考にしてみてください。
4−1.事例①申請と違い休業の実施をしなかった場合
- 日付:平成31年4月25日
- 事業概要:お惣菜製造・販売
- 助成金名:雇用調整助成金
- 金額:約300万円
- 内容:上記助成金の対象者について、休業を実施せず、虚偽の助成金添付書類を作成し、不正に助成金を受給 していたことが、労働局の実施調査により明らかになっ た。
引用元:厚生労働省 兵庫労働局
こちらの事例はコロナウイルスが流行以前ですが、流行中でも同じことは起こりえると言えるでしょう。
つまり、現在で置き換えた場合、コロナウイルスによって事業続行が困難のため、休業を実施するという理由から雇用調整助成金を申請したのにもかかわらず、実際には休業せずに従業員等を働かせていたということですね。
4−2.事例②申請と違い教育訓練中に他県に滞在していた場合
- 日付:平成29年7月6日
- 事業概要:専門サービス業
- 助成金名:中小企業緊急雇用安定助成金、雇用調整助成金
- 金額:約1,300万円
- 内容: 中小企業緊急雇用安定助成金及び雇用調整助成金の支給申請にかかる教育訓練について、実際は長期出張で他県に滞在しているにもかかわらず、北海道札幌市で教育訓練を行 っていたように訓練実施結果の書類に虚偽の記載をし、も って助成金を不正に受給したもの 。
引用元:厚生労働省 北海道労働局
こちらの事例につきましても、コロナウイルス流行以前ですが、同じく流行中でも起こりえると言えるでしょう。
雇用調整助成金の申請項目の中には、教育訓練について記載しなければならない項目があります。
教育訓練でどのような訓練をしたか、またそれによって得る知識は何であるか。
また教育訓練を行う施設等はどこにあるか名称と所在地などが求められます。
つまり、その場所で教育訓練を実施している期間中にもかかわらず、他の場所に滞在して教育訓練をしていたかのように偽ったということが問題というわけですね。
という風に、以上の事例内容に置き換えた場合、当然発覚する可能性が高いということになります。
理由としましては、雇用調整助成金を申請した場合、必ず立ち入り検査が行われるからです。
また従業員からの取り調べや密告などで判明する場合もあるので、申請内容と違いがあれば、遅かれ早かれ発覚することは避けられません。
5.不正受給を促す業者には要注意!
コロナウイルスの影響で様々な企業などが雇用調整助成金を必要とする中、甘い言葉で不正受給を促す業者がいます。
雇用調整助成金の申請は複雑であり、素人であれば申請するまでの間に多大な労力や時間を使ってしまうでしょう。
それを避けるために、雇用調整助成金の申請を専門家に頼もうかと検討していれば、それを嗅ぎつけて怪しい業者が声をかけてきます。
こういった不正を促す業者には、以下の甘い言葉などをささやいてきます。
- 全てこちらで記入して処理します!
- 他より多くの助成金を受給可能です!
- ほぼ100%の確立で受給可能です!
- こちらの専用書類ならば助成金がすぐに支給されます!
- 厚生労働省・ハローワークから委託されています!
このような甘い言葉をささやいてくる業者がいた場合、注意が必要です。
本来雇用調整助成金などの代行手続きは、厚生労働省から独占業務として認可を受けている社労士しかできません。
そして、社労士がこのような怪しい提案をしてくることはなく、仮に提案した場合、社労士の資格を失う恐れがあるためです。
なので、このような提案をしてくる業者は厚生労働省に認められていない者であり、資格を失うといったことが無いため、甘い言葉で不正を促しきます。
その様な理由から、社労士ではない業者が代行手続きの提案をしてきた場合には、まずは不正を疑ってください。
6.まとめ:助成金のことは社労士に相談!
不正受給を誤ってしてしまわないためにも、雇用調整助成金の相談は、厚生労働省から認可を受けている社労士に相談しましょう。
不正受給してしまった時の罰則は、企業などにとって甚大なものになってしまいます。
ブランド名に傷がつけば、今後の取引などに悪影響が出ることはもちろんのこと、倒産の引き金にもなりかねません。
複雑な申請手続きに時間や労力を使いたくないという方は、怪しい業者ではなく、社労士に依頼しましょう。
どこに依頼すればいいのか迷った方は、井上社労士事務所にお任せください!