介護事業で受給したいキャリアアップ助成金の申請方法や事例を紹介!
介護事業者でもキャリアアップ助成金を受給できるかお調べ中ですね。
助成金は申請や条件が複雑なイメージがあるため、介護事業者でも受給できるのかはっきりとわからないかと思います。
しかし結論から言いますと、介護事業者でもキャリアアップ助成金は受給可能です。
申請方法が難しいからと、助成金の受給を諦めている方は少なくありません。
この記事ではキャリアアップ助成金について知っていただくと共に、その申請手順や条件をわかりやすく解説していきます。
ぜひ参考にして、介護事業に助成金を活用してくださいね。
1.キャリアアップ助成金は一人当たり約57万円
助成金の申請が通ったとして、実際にどれくらいの金額がもらえるのかは知っておきたいですよね。
もちろん事業規模によっても変わりますが、キャリアアップ助成金の受給金額は以下のようになっています。
正社員化コースの場合
① 有期 → 正規:1人当たり57万円
② 有期 → 無期:1人当たり28万5,000円
③ 無期 → 正規:1人当たり28万5,000円
これらは、もちろんキャリアアップ助成金は返済不要なお金ですので、福利厚生をさらに充実するなど社員のモチベーションアップに繋げていきましょう。
特に介護業界は人手不足が近年の問題となっています。
この問題を解決するにも、キャリアアップ助成金の活用はとても有効な手法となるでしょう。
2.【介護】キャリアアップ助成金を受給できる条件
各助成金にはそれぞれ受給するための条件があることはご存知ですよね。
しかし、難しい単語が多いこともあり、なかなかはっきりイメージがつかないかと思います。
そんな方のためにここでは、介護事業者はどんな条件をクリアすればキャリアアップ助成金を受給できるのかをわかりやすく解説していきますね。
条件が課せられる対象は以下の2つです。
- 介護の事業主であるあなた
- 介護事業の労働者
このどちらともが条件を満たしている場合に受給することができます。
それでは順番に詳しくみていきましょう。
2-1.介護の事業主であるあなたの受給条件
介護の事業主であるあなたの受給条件をまとめると、「パートや派遣労働者を試験により正社員・無期雇用労働者に昇格させ、その後も6ヶ月以上しっかり賃金を払っていたら条件クリアですよ。」
という意味合いになります。
詳しい条件は以下の通りです。
①有期契約労働者を雇用する事業主であること。
②雇用する有期契約労働者を面接試験や筆記試験などにより正社員、無期雇用労働者に雇用形態変更する旨を労働協約または就業規則に定めていること。
③上記②により転換された労働者を転換後6か月以上の期間継続して雇用する。
また当該労働者に対して転換後、処遇適用後6か月分の賃金を支給している事業主である。
ただし、通常の勤務日数が11日未満の月は除く
④支給申請日においてこの方法を継続して運用している事業主である。
⑤上記②により無期雇用労働者に変更した際に、変更前の基本給より5%以上昇給する事業主のこと。
⑥変更日の前日から起算して6か月から1年を経過した日までの間に、適用事業所において、雇用保険被保険者を事業主の都合により解雇等したことがない事業主である。
⑦当該転換日の前日から起算して過去6か月から1年を経過した間に、該当の変更を行った適用事業所において、離職理由により雇用保険被保険者を3人超え、かつ、当該変更日における被保険者数の6%に相当する数を超えて離職させていない事業主のこと。
⑧適用に当たり、適切な手続き、要件が労働協約または就業規則に明示されること。
⑨雇用する労働者を他の雇用形態に変更するコースについて、その対象となる労働者本人の同意に基づく制度として運用する事業主である。
項目がありすぎてパッとしないかとは思います。
その他細かい基準はありますが、大枠は上記のイメージとなっています。
2-2.介護事業の労働者の受給条件
介護事業の労働者の受給条件をまとめると、「派遣として6ヶ月以上働き、正社員・無期雇用労働者に転換した後も6ヶ月以上しっかり働いていれば条件クリアですよ」
という意味合いになります。
詳しい条件は以下の通りです。
①支給対象事業主に有期労働契約される期間が通算して6か月以上(無期雇用に転換する場合は6か月以上3年未満)の有期契約労働者である。
②支給対象事業主に雇用される期間が6か月以上の無期雇用労働者
③同一の業務について6か月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れている派遣先、その他派遣就業場所において就業している派遣労働者
④正規雇用等労働者として雇用することを前提として雇い入れられた労働者ではない(紹介予定派遣などではないこと)
⑤正社員または無期雇用労働者に変更または直接雇用される場合、当該の変更または直接雇用の前日から起算して過去3年以内に次の条件に当てはまっていること。
・正社員に転換または直接雇用される場合、当該事業主/事業所において正社員または短時間正社員として雇用されたことがない労働者。
・無期雇用労働者に転換または直接雇用される場合、当該事業主/事業所において正社員、短時間正社員または無期雇用労働者として雇用されたことがない労働者。
3.キャリアアップ助成金を申請する6つの手順
次に実際にキャリアアップ助成金を申請するときの手順を解説します。
以下の6つのステップで進めていくので、まずは全体像を確認してみてください。
- コースの選定
- キャリアアップ計画の作成・提出
- キャリアアップ計画の認定
- 対象となるコースの取組の実施
- 助成金の支給申請
- 支給決定
それでは、それぞれどのようなものか確認していきましょう。
3-1.コースの選定
キャリアアップ助成金は7つのコースが用意されています。
まずはじめに、どのコースでキャリアアップ助成金の申請をするのか決めましょう。
各コースの内容については後に解説していきます。
3-2.キャリアアップ計画書の作成・提出
選んだコースをもとにキャリアアップ計画書を作成し、提出しなければいけません。
- 誰をキャリアアップの対象にするのか
- 何のためにキャリアアップさせるのか
- 誰がそれを管理していくのか
上記を計画書に書き起こしていく必要があります。
3-3.キャリアアップ計画の認定
作成したキャリアアップ計画書を管轄の労働局長に提出し、認定を受けます。
3-4.対象となるコースの取組の実施
管轄の労働局長の認定を受けたら、選んだコースの内容を実施しするのですが、その前に労働協約又は就業規則の作成・変更を行わなければいけません。
その後、選んだコースの内容を実施したことが書かれた労働契約書・労働条件通知書を交付します。
3-5.助成金の支給申請
コース内容の取り組みを実施したら助成金の支給申請をしましょう。
助成金の申請期間は、6ヶ月分の賃金を支払った日等要件を満たした日の翌日から2ヶ月以内となっています。
期間内に申請できるよう、期日には注意しておきましょう。
3-6.支給決定
支給が決定すると支給決定書が郵送され、助成金が振り込まれます。
申請してから支給が可否が決まるまでは2.3ヶ月程度はかかると考えてください。
4.キャリアアップ助成金の7つのコース
キャリアアップ助成金には7つのコースがあります。
事業者が実施する内容も以下のコースによってそれぞれ異なります。
- 正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 健康診断制度コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
それでは、それぞれのコースがどのような内容になっているのか解説していきますね。
4-1.正社員化コース
「正社員化コース」とは、有期契約労働者や短時間労働者を正規雇用等に変更するともらえる助成金です。
対象者はもちろん非正規社員で、1事業所あたり20人までが上限とされています。
4-2.賃金規定等改定コース
「賃金規定等改定コース」とは、有期契約労働者などの基本給の賃金規定などを2%以上増額させた場合にもらえる助成金です。
1事業所当たりの支給申請上限人数は100人までとなっており、申請回数は1年度に1回までとなっています。
4-3.健康診断制度コース
「健康診断制度コース」とは、有期契約の労働者など4人以上に対し、法定外の健康診断制度を実施した場合にもらえる助成金です。
1事業所あたり1回まで助成が可能となっています。
4-4.賃金規定等共通化コース
「賃金規定等共通化コース」とは、有期契約労働者に対し、正社員と同じ職務を行った場合に同じ賃金を支払うといった賃金規定等を作成し、適用した際にもらえる助成金です。
上限は20人までで、1事業所あたり1回までの助成が可能です。
4-5.諸手当制度共通化コース
「諸手当制度共通化コース」とは、有期契約労働者に対して、正社員と同じ手当制度を新たに導入した場合にもらえる助成金です。
上限は20人までとなっています。
4-6.選択的適用拡大導入時処遇改善コース
「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」とは、より手厚い年金や保険制度などの選択的適用拡大制度を導入した場合にもらえる助成金です。
1事業所当たり1回までの申請となっており、上限は30人までとなっています。
4-7.短時間労働者労働時間延長コース
「短時間労働者労働時間延長コース」とは、パートやアルバイトなどの短時間労働者の週所定労働時間をこれまでよりも延長し、社会保険適用の範囲内になった場合にもらえる助成金です。
1事業所当たりの上限は15人までとなっています。
5.助成金のことなら井上社労士事務所にご相談ください
キャリアアップ助成金の概要・申請について解説してきました。
ここまで読み終えて、受給のイメージが掴めてきたのではないでしょうか?
しかしそれでも、書類の作成や取り組みの実施の段階でつまずいてしまう方は少なくありません。
「キャリアアップ助成金についてはなんとなく理解できたけど、こういったことはプロに丸投げしたい」と思われた場合は、ぜひ井上社労士事務所にお任せください。
私たちは助成金の申請に特化した社労士事務所であります。
助成金をもらって、より介護事業を発展させていきましょう。