キャリアアップ助成金とは?全コースを理解して確実に受給しよう
キャリアアップ助成金についてお調べですね。
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者(アルバイト・派遣社員など)の企業内でのキャリアアップを促進するための助成金です。
返済する必要はありません。
目的に合わせて、正社員化コース・人材育成コース・処遇改善コースが用意されています。
上手にキャリアアップ助成金を活用し、社内の人材を育てましょう。
1.キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは、厚生労働省による非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための助成金です。
非正規雇用労働者を企業内でキャリアアップさせ、正社員化や処遇改善を行う事業主に対して助成される支援制度のことを指します。
非正規雇用労働者には、有期間契約労働者や短時間労働者といったアルバイト・パート、派遣労働者が含まれます。
キャリアアップ助成金は返済の必要がないため、中小企業事業主であれば積極的に使いたい制度です。
事業主は、助成金を使って労働者の意欲や能力を向上させ、優秀な人材を確保できます。
(1)キャリアアップ助成金の7つのコース
キャリアアップ助成金には、7つのコースがあります。
どのようなキャリアアップをさせたのか、処遇を改善したのかによって受けられる助成金が異なるのです。
簡単にまとめると、以下のようにコースが分けられています。
正社員化コース | 非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換する |
賃金規定等改定コース | 非正規雇用労働者の基本給の賃金規定を2%以上増額させる |
健康診断制度コース | 4人以上の非正規雇用労働者を健康診断以外の健康診断制度を新しく規定する |
賃金規定等共通化コース | 非正規雇用労働者と正規雇用労働者の同一職務の賃金規定の共通化をする |
諸手当制度共通化コース | 非正規雇用労働者と正規雇用雇用労働者の諸手当の制度を共通化する |
選択的適用拡大導入時処遇改善コース | 非正規雇用労働者を社会保険の対象とし、基本給を増額させる |
短時間労働者労働時間延長コース | 非正規雇用労働者の労働時間の延長を認め、社会保険の適用をさせる |
コースによって助成金の受けられる内容や要件は大きく異なります。
自社の行うキャリアアップ内容に合わせたコースを選びましょう。
(2)キャリアアップ助成金の受給要件
キャリアアップ受給するにあたって、雇用保険適用事務所である必要があります。
さらに、以下のような条件があるので注意しましょう。
- 雇用保険適用事業所の事業主である
- 雇用保険適用事務所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主である
- 雇用保険適用事業主ごとに、対象労働者に対してキャリアアップ計画を作成して管轄労働局長の受給資格の認定を受けている事業主である
- 労働者に対する賃金の支払い状況を明らかにする書類を作成している事業主である
- キャリアアップ計画期間内にキャイアアップに取り組んだ事業主である
さらに、コースごとに受給の要件は異なります。
コースごとの受給要件は、『3.キャリアアップ助成金の7つのコースと受給の条件』で詳しく説明しているため、確認しましょう。
(3)中小企業事業主の定義
キャリアアップ助成金は、中小企業事業主とそれ以外とで助成額が異なります。
資本金または常時雇用する労働者の数によって、中小企業事業主であるかが判定されるので確認しておきましょう。
中小企業事業主であれば、より多く助成されます。
また、ここまでキャリアアップ助成金の概要を確認しました。
しかし、すべての申請者がキャリアアップ助成金を受給できるわけではありません。
次の章で、キャリアアップ助成金を通すためのポイントを確認しましょう。
2.キャリアアップ助成金を通すための2つのポイント
キャリアアップ助成金は、人材を育てるための支援であることが分かりました。
しかし、どんな人材教育であってもキャリアアップ助成金が通るわけではありません。
キャリアアップ助成金を通すための2つのポイントは、以下の通りです。
- ポイント1.キャリアアップ計画書をしっかり書く
- ポイント2.スケジュールや期限を事前に確認する
順番に確認していきましょう。
ポイント1.キャリアアップ計画書をしっかり書く
キャリアアップ計画書をしっかり書きましょう。
キャリアアップ計画書とは、自社がどのように労働者のキャリアアップを図るかを提示するための書類です。
事前に現実的な計画を立て、確実に実行する必要があります。
どのコースに申請する場合でも、キャリアアップがなければ申請できません。
なぜなら、キャリアアップ助成金は中長期的に労働者が働ける環境を整え雇用を継続する会社に支援されるものだからです。
そのため、キャリアアップ計画書の内容と実際にキャリアアップの内容に違いがあれば、キャリアアップ助成金は受給できません。
万が一、計画書から変更がある場合は「計画変更届」を提出する必要があります。
このように、キャリアアップ助成金では計画性と実行性が重視されているのです。
最初に提出するキャリアアップ計画書を綿密に作成しましょう。
キャリアアップ計画書については、『4.キャリアアップ計画の作成方法』で詳しく書き方の説明をしているので参考にしてください。
ポイント2.スケジュールや期限を事前に確認する
スケジュールや期限を事前にしっかりと確認しておきましょう。
というのも、キャリアアップ助成金の申請から受給まで長ければ一年程度かかるからです。
例えば、正社員化コースであれば以下のようなスケジュールで申請を進めていくことになります。
このように、会社ごとに手続き・申請の期限は異なります。
はじめのキャリアアップ計画(訓練計画書)の作成・提出から支給申請まで長期化するため、期限を忘れないように注意しなければなりません。
期限を過ぎてしまうと受給できなくなるため、事前に確認をしておきましょう。
3.キャリアアップ助成金の7つのコースと受給の条件
キャリアアップ助成金には7つのコースがあります。
以下のように、キャリアアップ内容によってコースが異なるのです。
正社員化コース | 非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換する |
賃金規定等改定コース | 非正規雇用労働者の基本給の賃金規定を2%以上増額させる |
健康診断制度コース | 4人以上の非正規雇用労働者を健康診断以外の健康診断制度を新しく規定する |
賃金規定等共通化コース | 非正規雇用労働者と正規雇用労働者の同一職務の賃金規定の共通化をする |
諸手当制度共通化コース | 非正規雇用労働者と正規雇用雇用労働者の諸手当の制度を共通化する |
選択的適用拡大導入時処遇改善コース | 非正規雇用労働者を社会保険の対象とし、基本給を増額させる |
短時間労働者労働時間延長コース | 非正規雇用労働者の労働時間の延長を認め、社会保険の適用をさせる |
それぞれ支給額や対象労働者などを詳しく見ていきましょう。
コース1.正社員化コース
正社員化コースとは、非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換するときの助成金です。
正規雇用者や無期限雇用者を増やし、労働条件を改善することが目的とされています。
1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は20人までです。
①支給額
転換する雇用形態によって支給額は変わります。
転換内容 | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
有期→正規(1人あたり) | 57万円 (72万円) |
42万7,500円 (54万円) |
有期→無期(1人あたり) | 28万5,000円 (36万円) |
21万3,750円 (27万円) |
無期→正規(1人あたり) | 28万5,000円 (36万円) |
21万3,750円 (27万円) |
②対象労働者
以下のいずれかの条件に当てはまっている労働者が対象となります。
- 雇用期間が通算6ヶ月以上の有期契約労働者・無期雇用労働者
- 6ヶ月以上継続して同一業務に従事している派遣労働者
- 結城実習型訓練を受講し、修了した有期契約労働者
③対象事業者
以下のいずれかの条件に当てはまっている事業者が対象となります。
- 有期契約労働者を正規雇用労働者か無期雇用労働者に転換した事業者
- 無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した事業者
ほかにも細かな規定はたくさんあります。
申請前に厚生労働省が掲載している『キャリアアップ助成金のご案内』を確認しましょう。
コース2.賃金規定等改定コース
賃金規定等コースは、非正規雇用労働者の基本給の賃金規定を2%以上増額させたときの助成金です。
非正規雇用労働者の賃金を上げ、正社員との格差をなくしていくことが目的とされています。
1年度1事業所あたり支給申請上限人数は、100人までです。
①支給額
対象労働者の数によって、支給額は変わります。
◆すべての非正規雇用労働者の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
対象労働者の人数 | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
1人〜3人(1事業所あたり) | 9万5,000円 (12万円) |
7万1,250円 (9万円) |
1人〜3人(1事業所あたり) | 19万円 (24万円) |
14万2,500円 (18万円) |
1人〜3人(1事業所あたり) | 28万5,000円 (36万円) |
19万円 (24万円) |
1人〜3人(1人あたり) | 2万8,500円 (3万6,000円) |
1万9,000円 (2万4,000円) |
◆一部の非正規雇用労働者の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
対象労働者の人数 | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
1人〜3人(1事業所あたり) | 4万7,500円 (6万円) |
3万3,250円 (4万2,000円) |
1人〜3人(1事業所あたり) | 9万5,000円 (12万円) |
7万1,250円 (9万円) |
1人〜3人(1事業所あたり) | 14万2,500円 (18万円) |
9万5,000円 (12万円) |
1人〜3人(1人あたり) | 1万4,250円 (1万8,000円) |
9,500円 (1万2,000円) |
②対象労働者
主に、以下のような条件に該当する労働者が対象となります。
- 賃金変更前の3ヶ月以上前から雇用されており、増額改定後6ヶ月以上継続して雇用されている非正規雇用労働者
- 増額改定前の基本給に比べて2%以上昇給した非正規労働者
③対象事業者
主に、以下のような条件に該当する事業者が対象となります。
- 非正規雇用労働者に適用される賃金規定等を作成している事業者
- すべてまたは一部の賃金規定等を2%以上増額改定し、非正規雇用労働者に適用させた事業者
- 増額改定前の賃金規定等を3ヶ月以上運用していた事業者
- 増額改定後の賃金規定等を6ヶ月以上運用している事業者
ほかにも細かな規定はたくさんあります。
申請前に厚生労働省が掲載している『キャリアアップ助成金のご案内』を確認しましょう。
コース3.健康診断制度コース
健康診断制度コースは、4人以上の非正規雇用労働者を健康診断以外の健康診断制度を新しく規定したときの助成金です。
非正規雇用労働者にも正規雇用労働者同様の福利厚生を与えることが目的とされています。
1事業所あたり1回のみの申請が可能です。
①支給額
支給額は一律で以下のように定められています。
ー | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
1事業所あたり | 38万円 (48万円) |
28万5,000円 (36万円) |
②対象労働者
主に、以下のような条件に該当する労働者が対象となります。
- 無期限労働者、もしくは同種の業務に従事する正規雇用労働者の1週間の所定労働時間数の3/4以上の労働者
- 雇入時健康診断・定期健康診断または人間ドックを受診する日に雇用保険被保険者である
③対象事業者
主に、以下のような条件に該当する事業者が対象となります。
- 事業主に実施が義務付けられていない非正規労働者を対象に、雇入時健康診断制度もしくは定期健康診断制度、あるいは人間ドック制度を労働協約などに新しく規定した事業者
- キャリアアップ計画期間中に4人以上の非正規雇用労働者に雇入時健康診断・定期健康診断・人間ドックを実施した事業者
- 雇入時健康診断・定期健康診断の場合、発生した費用の全額を負担する旨が労働協約などに規定され、実際に全額負担をした事業者
- 人間ドックの場合、発生した費用の半額以上を負担する旨が労働協約などに規定され、実際に半額以上の負担をした事業者
ほかにも細かな規定はたくさんあります。
申請前に厚生労働省が掲載している『キャリアアップ助成金のご案内』を確認しましょう。
コース4.賃金規定等共通化コース
賃金規定等共通化コースは、非正規雇用労働者と正規雇用労働者の同一職務の賃金規定の共通化をするときの助成金です。
同一業務を遂行する労働者の賃金を同一にすることが目的とされています。
1事業者あたり1回のみの申請が可能です。
また、20人分までであれば助成されます。
①支給額
支給額は一律で以下のように定められています。
ー | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
1事業所あたり | 57万円 (72万円) |
42万7,500円 (54万円) |
2人目以降の加算 (1人あたり) |
2万円 (2万4,000円) |
1万5,000円 (1万8,000円) |
②対象労働者
主に、以下のような条件に該当する労働者が対象となります。
- 賃金改定の3ヶ月以上前から、改定後6ヶ月以上の期間継続して雇用されている非正規雇用労働者
- 正規雇用労働者と同一の区分に格付けされている
③対象事業者
主に、以下のような条件に該当する事業者が対象となります。
- 非正規雇用労働者に対して、正規雇用労働者と同一職務に応じたときの賃金規定等を新しく設けた事業者
- 非正規雇用労働者の基本給などの賃金の時間あたりの金額が、正規雇用労働者と同額以上に定めている事業者
- 新しく改定した賃金規定等を6ヶ月以上運用している事業者
ほかにも細かな規定はたくさんあります。
申請前に厚生労働省が掲載している『キャリアアップ助成金のご案内』を確認しましょう。
コース5.諸手当制度共通化コース
諸手当制度共通化コースは、非正規雇用労働者と正規雇用雇用労働者の諸手当の制度を共通化したときの助成金です。
非正規雇用労働者と正規雇用労働者の処遇格差をなくすことが目的とされています。
1事業あたり1回のみの申請が可能です。
また、申請上限は20人まで・同時に共通化した諸手当は10手当てまでとされています。
①支給額
支給額は一律で以下のように定められています。
ー | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
1事業所あたり | 38万円 (48万円) |
28万5,000円 (36万円) |
2人目以降の加算 (1人あたり) |
1万5,000円 (1万8,000円) |
1万2,000円 (1万4,000円) |
2つ目以降の同時に共通化した諸手当 (1手当てあたり) |
16万円 (19万2,000円) |
12万円 (14万4,000円) |
②対象労働者
主に、以下のような条件に該当する労働者が対象となります。
- 諸手当制度を改正する3ヶ月前から改正後6ヶ月以上の期間継続して雇用されている非正規雇用労働者
- 改正後、初回の諸手当を支給した日以降の6ヶ月間雇用保険被保険者である非正規雇用労働者
③対象事業者
以下のような諸手当制度を新たに事業主であることが条件です。
- 賞与(ボーナス)
- 役所取引価格手当て
- 特殊作業手当て・特殊勤務手当て
- 精皆勤手当
- 食事手当
- 単身赴任手当て
- 地域手当
- 家族手当
- 住宅手当て
- 時間外労働手当
- 深夜・休日労働手当
ほかにも細かな規定はたくさんあります。
申請前に厚生労働省が掲載している『キャリアアップ助成金のご案内』を確認しましょう。
コース6.選択的適用拡大導入時処遇改善コース
選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、非正規雇用労働者を社会保険の対象とし、基本給を増額させるときの助成金です。
社会保険適用者を増加させることが目的とされています。
1事業所あたり1回のみ申請が可能です。
また、支給申請上限人数は45人までとされています。
①支給額
基本給の増額割合に応じて、支給額が変動します。
対象労働者の人数 | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
3%以上5%未満(1人あたり) | 2万9,000円 (3万6,000円) |
2万2,000円 (2万7,000円) |
3%以上5%未満(1人あたり) | 4万7,000円 (6万円) |
3万6,000円 (4万5,000円) |
3%以上5%未満(1人あたり) | 6万6,000円 (8万3,000円) |
5万円 (6万3,000円) |
3%以上5%未満(1人あたり) | 9万4,000円 (11万9,000円) |
7万1,000円 (8万9,000円) |
14%以上(1人あたり) | 13万2,000円 (16万6,000円) |
9万9,000円 (12万5,000円) |
②対象労働者
主に、以下のような条件に該当する労働者が対象となります。
- 措置の3ヶ月以上前から継続して雇用されている非正規雇用労働者
- 措置前の3ヶ月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった労働者
③対象事業者
主に、以下のような条件に該当する事業者が対象となります。
- 労使合意に基づいて、社会保険の拡大措置を実施した事業者
- 新たに社会保険んお被保険者となった全ての非正規雇用労働者の基本給を増額し、定額で支給されている諸手当を減額していない事業者
- 措置適用後継続して6ヶ月以上雇用し、基本給の増額分も6ヶ月分支給した事業者
ほかにも細かな規定はたくさんあります。
申請前に厚生労働省が掲載している『キャリアアップ助成金のご案内』を確認しましょう。
コース7.短時間労働者労働時間延長コース
短時間労働者労働時間延長コースは、非正規雇用労働者の労働時間の延長を認め、社会保険の適用をさせるときの助成金です。
1人あたりの労働時間を長期化させ、安定した雇用をすることが目的としています。
1年度1事業所あたり支給申請上限人数は45人までです。
週所定労働時間を5時間以上延長する場合と1時間以上5時間未満延長する場合とでは条件が異なります。
1時間以上5時間未満延長する場合には、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースの実施によって処遇改善しなければ受給対象になりません。
①支給額
週所定労働時間の延長時間によって、支給額は変わります。
◆短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険に適用した場合
ー | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
1人あたり | 22万5,000円 (28万4,000円) |
16万9,000円 (21万3,000円) |
◆短時間労働者の週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、社会保険に適用することに加え、処遇改善を行った場合
延長した時間 | 中小企業 (生産性の向上が認められる場合) |
中小企業以外 (生産性の向上が認められる場合) |
1時間以上2時間未満(1人あたり) | 4万5,000円 (5万7,000円) |
3万4,000円 (4万3,000円) |
2時間以上3時間未満(1人あたり) | 9万円 (11万4,000円) |
6万8,000円 (8万6,000円) |
3時間以上4時間未満(1人あたり) | 13万5,000円 (17万円) |
10万1,000円 (12万8,000円) |
4時間以上5時間未満(1人あたり) | 18万円 (22万7,000円) |
13万5,000円 (17万円) |
②対象労働者
主に、以下のような条件に該当する労働者が対象となります。
- 所定労働時間を延長する6ヶ月前から継続して雇用されている非正規労働者
- 所定労働時間の延長前後に」一定以上基本給が昇給している労働者
- 所定労働時間を延長する前の6ヶ月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった労働者
③対象事業者
主に、以下のような条件に該当する事業者が対象となります。
- 非正規雇用労働者の週所定労働時間を5時間以上延長した、もしくは週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースの実施によって処遇の改善を図った事業者
- 新たに社会保険の被保険者となった労働者を延長後6ヶ月以上継続してこ教師、さらに賃金を支給した事業者
- 週所定労働時間の延長や社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を交付している事業主
ほかにも細かな規定はたくさんあります。
申請前に厚生労働省が掲載している『キャリアアップ助成金のご案内』を確認しましょう。
4.キャリアアップ計画書の作成方法
ここまでキャリアアップ助成金について見てきました。
キャリアアップ助成金を申請する為には、キャリアアップ計画の作成が欠かせません。
しかし、「どのように作成すれば良いか分からない」という人も多いと思います。
この章では、キャリアアップ計画の作成方法や記入例を見ていきましょう。
(1)キャリアアップ計画書の作成方法
キャリアアップ計画書には、今後取り組んでいく内容を記載していきます。
対象者・目標・期間・目標達成のために行う取り組み内容を記載しなければなりません。
ポイントは、非正規雇用労働者を含む事業者の全ての労働者の意見を聴くことです。
意見を聴いた上で計画立てをすることで、労働者の意見が反映された内容が作成できます。
最初に書いたキャリアアップ計画をあとで変更することも可能です。
しかし、変更があった場合にはキャリアアップ計画変更届を出さなければならないことを覚えておきましょう。
キャリアアップ計画は、厚生労働省ホームページに様式が掲載されています。
まずはダウンロードし、記入例を見ていきましょう。
(2)キャリアアップ計画書の記入例
キャリアアップ計画書の記入例を確認しましょう。
それぞれの項目に何を記入していくべきか見ていきましょう。
①キャリアアップ計画期間
キャリアアップ計画の期間を記載しましょう。
計画の期間とは、計画立てから目標達成までの期間のことです。
期間は、3年以上5年以内の計画期間を定めるよう指定されています。
万が一5年の計画期間満了後も取り組みを続けるのであれば、新たなキャリアアップ計画を作成しなければなりません。
3年〜5年以内で実行できる内容にするよう、注意しましょう。
②キャリアアップ経過取引価格中に講じる措置の項目
どのコースを選択するのかチェックしましょう。
正社員コース・諸手当制度共通化コースは()内の該当するものを○で囲む必要があります。
また、それぞれのコースをいつ実施するのかも書いておきましょう。
③対象者
キャリアアップさせる対象労働者を記入しましょう。
個人名を書くのではなく、部門や条件を記入します。
たとえば、以下のように書きます。
- 営業部配属後3年を経過した契約社員
- 週所定労働時間の延長を希望するパートタイム労働者
対象者はもれなく記入するよう注意しましょう。
④目標
キャリアアップの目標を記入しましょう。
たとえば、以下のように書きます。
- 対象者のうち5名以上を正規雇用労働者へ転換する
- 対象者のうち10名以上の健康保険加盟を認める
具体的に数字で分かる成果を記入しましょう。
⑤目標を達成するために講じる措置
目標達成するために事業主が行う内容を記入しましょう。
たとえば、以下のように記入します。
- 希望者に対して正規雇用労働者へ転換するための面接試験の実施
- 労働時間の希望を把握するために対象者全員の面談を実施
また、面接試験を受けるためのスキルアップ講習を実施するのであれば記載しましょう。
⑥キャリアアップ計画の全体の流れ
キャリアアップ計画を実行する流れを記入しましょう。
希望者の募集・スキルアップ講習や面接試験の実行・社会保険の適用など、順を追って説明します。
具体的には、以下のように記入しましょう。
まず、正規労働者へ転換するための制度を整え、対象者が誰なのか・制度内容を社内に周知します。
対象者に対して希望を募り、面接試験の評価によって正規労働者へ転換させます。
書き方に指定はありませんので、説明しやすいように記入してください。
5.キャリアアップ助成金の申請から受給までの流れ
キャリアアップ計画の作成ができたら、早速申請をしましょう。
ここからは申請から受給までの流れを確認しています。
キャリアアップ助成金を受給するためには、以下の4つの流れに沿って進めていきましょう。
- 流れ1.キャリアアップ計画書の提出
- 流れ2.就業規則などの変更
- 流れ3.転換後半年間の賃金の支払い
- 流れ4.受給のための申請
順番に確認し、スムーズに受給できるよう準備しましょう。
流れ1.キャリアアップ計画書の提出
キャリアアップ計画書の記入が終わったら、事業所管轄のハローワークへ提出しましょう。
助成金の申請には、管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書が必要となります。
計画期間が設けられているため計画期間開始1ヶ月間までには提出しておくべきです。
事業所管轄のハローワークは、都道府県の労働局ホームページにて確認できます。
管轄労働局長の認定を受けたら、設定した目標に向けて計画を実行していきましょう。
もし、計画期間中に計画内容の変更があった場合はキャリアアップ計画書の変更届が必要です。
このとき変更前の認定を受けたキャリアアップ計画書も一緒に提出しましょう。
流れ2.就業規則などの変更
キャリアアップ計画に基づき、目標達成に向けて施策を実行していきましょう。
正社員化コースであれば、就業規則や労働協約などを変更し、正社員労働者へ転換するための制度を整えます。
また、スキルアップ研修や面接・試験など、計画した内容を実行していきましょう。
キャリアアップ計画で定めた目標人数通り、正社員労働者を転換させる必要があります。
流れ3.転換後半年間の賃金の支払い
正社員労働者への転換が完了したら、半年間の賃金支払いを行いましょう。
なぜなら、正社員化コースでは半年間正社員の賃金を支払った実績が必要だからです。
たとえば、4月に転換したら9月いっぱいまでの賃金支払いを証明しなければなりません。
流れ4.受給のための支給申請
半年間の賃金が支払い終わったら、6ヶ月目の賃金支払日から2ヶ月以内に支給申請を行いましょう。
例のように、9月分の給料支払い日が10月15日であれば、支給申請期間は12月15日までに行う必要があります。
また、正社員化コースなら以下のような書類が必要です。
- 管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
- 転換制度または直接雇用制度が規定されたことが分かる労働協約または就業規則など
- 対象の労働者の雇用契約書や労働条件通知書など
- 中小企業事業主であることを証明する書類(登記事項証明書・所定の事業所確認表など)
詳しい書類については、東京労働局の『キャリアアップ助成金支給申請(正社員化コース)チェックリスト』を確認しましょう。
東京労働局では、キャリアアップ助成金の必要書類チェックリストが公開されています。
正社員化コース以外のコースも掲載されているので参考にしましょう。
6.キャリアアップ助成金のことは井上社労士事務所にご相談ください
ここまでキャリアアップ助成金の要件や申請方法について見てきました。
しかし、書類の作成やスケジュールを管理することが難しい人もいるかもしれません。
中には、要件に当てはまるのに本業が忙しく申請する余裕がない経営者の方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、ぜひ井上社労士事務所にご相談ください。
井上社労士事務所であれば、気軽にLINEで無料相談が可能です。
できるだけ多くの助成金が受給できるよう、申請前にアドバイスいたします。
時間のない方や丸投げしたい方、確実に受給したい方は、井上社労士事務所までお気軽にご連絡ください。
まとめ
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者(アルバイト・派遣社員など)の企業内でのキャリアアップを促進するための助成金です。
受給した後、返済する必要はありません。
スケジュールを事前に理解し、キャリアアップ計画書をしっかり書いておくことが受給のコツです。
賢くキャリアアップ助成金を活用して社内の人材を育て、会社をさらに発展させましょう。