飲食店が申請できる新型コロナウイルスの助成金を解説!
新型コロナウィルス感染症の影響で、日本国内でも多くの経済活動が制限されることになりました。
特に、国の緊急事態宣言を受け、飲食店などの営業も自粛せざるを得なくなっています。
また、営業していてもお客さんが入ってこないため、飲食店の経営的には非常に苦しいのが現状です。
そこで、国では雇用調整助成金の特例措置を開始しました。
これは特例雇用保険被保険者でない方の休業も対象となりますので、要件に該当になるかや、助成の内容について詳しく確認しておきましょう。
1.飲食店は申請可能貸付事業
新型コロナウィルス感染症により影響を受ける事業主を支援するため、政策金融公庫は飲食店を対象とした様々な事業を行っています。
ここでは、以下の3つのトピックについて詳しく解説していきます。
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変対策特別貸付
- 日本政策金融公庫のその他の融資
1-1.日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫は、新型コロナウィルス感染症に関連した事業の売上減少に対して貸付を行う、「新型コロナウィル感染症特別貸付」事業を展開しています。
この貸付には、2つの利用資格があります。
1つ目は、新型コロナウイルス感染症の影響によってお、最近1カ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方が対象というものです。
また、2つ目としては、当初3年間の金利が基準金利からマイナス0.9%であることです。
融資限度額としては、国民生活事業で6,000万円、中小企業事業で1億円が限度額とされています。
また、利下げ限度額は国民生活事業で3,000万円、中小企業事業で1億円が限度となっています。
いずれも経営の厳しい事業に対して大きな手助けをしてくれますので、要件をチェックし申請できるか確認しておきましょう。
1-2.新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変対策特別貸付
新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付は先ほどの貸付と名称が似ていますが、内容や要件が異なるので注意が必要です。
本貸付の利用資格としては、新型コロナウイルス感染症の発生により一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している方であり、下の要件のいずれにも該当する旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む方のみが対象となります。
①最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して10%以上減少しており、かつ、今後も売上高の減少が見込まれること
②中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれること
これら2つの要件を満たせば飲食店も貸付の申請をすることができます。
また、貸付金の使い道は指定されており、経営を安定させるために必要な運転資金として用いることになります。
借入可能金額は、別枠1,000万円(旅館業を営む方は、別枠3,000万円)となっています。
1-3.日本政策金融公庫のその他の融資
主な貸付事業2つをご紹介しましたが、上記の融資に当てはまらない場合であっても、新型コロナウイルスの影響を受けた飲食店などの中小企業・小規模事業者等に対し、セーフティネット貸付の要件を緩和し、支援対象を今後の影響が懸念される事業者にまで拡大しています。
各種の融資制度活用や返済に関する相談に対応し、きめ細かな対応がなされることも発表されているところであり、今後の動きも注視しておく必要があります。
2.飲食店が受給できる国の新型コロナウィルス関連助成金
次に、国が実施している新型コロナウィル感染症関連の助成金について見ていきましょう。
助成金はそれぞれ支給対象となる条件や期間が異なりますので、注意が必要です。
現在国が実施している飲食店が利用できる助成金としては、以下の3つがあります。
- セーフティネット保証4号の追加指定
- セーフティネット保証5号の追加指定
- 雇用調整助成金
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1.セーフティネット保証4号の追加指定
セーフティネット保証4号とは、今回の新型コロナ含んだ突発的な事由により経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証してくれる制度となっています。
当然この対象者の中には飲食店経営者も含まれます。
対象事業者は、以下の2つの条件を満たしている必要があります。
①指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること。
②災害の発生に起因して、当該災害の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。ただし、売上高等の減少について、市区町村長の認定が必要。
本保証の対象資金は、経営安定資金に限られます。
保証割引は100%で、保証限度額は一般保証とは別枠で2億8,000万円となっています。
2-2.セーフティネット保証5号の追加指定
事業の売上高などが減少している中小企業・小規模事業者の資金繰り支援措置として、信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の80%を保証してくれる制度です。
新型コロナウイルス感染症により特に重大な影響が生じているや飲食業など40業種が緊急的に追加指定されており、飲食店経営者であれば見逃してはいけません。
対象事業者は、事業が悪化している業種に属した事業を行う中小企業者であって、経営の安定に支障が生じていることについて、市区町村長の認定を受けた中小企業者とされています。
また、市区町村長の認定を受けられる基準は、以下のいずれかの条件を満たすことが求められます。
①最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少している中小企業者。
②製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず製品等価格に転嫁できていない中小企業者。
この事業は、今回の新型コロナウイルス感染症による影響の重大性に鑑み、認定基準については、新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化している2月以降、直近3ヶ月の売上高が算出可能となるまでの間は、直近1ヶ月の売上高などとその後の2ヶ月間の売上高等見込みを含む3ヶ月間の売上高等の減少でも認定を可能とする、時限的な運用緩和が行われています。
保証割合は80%保証、保証限度額は一般保証とは別枠で2億8,000万円となっています。
2-3.雇用調整助成金
雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症への対応として、令和2年の2月から特例措置が講じられてきましたが、さらに特例措置の対象となる事業主の範囲が拡大されました。
これにより、より幅広い事業者が助成を受けることが可能になっています。
この助成金の対象事業主は、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主です。
観光客の減少に伴い、観光業や製造業だけでなく、外食産業も対象となります。
事業環境の悪化によって、従業員の休業を実施した場合、国に休業手当の2/3を助成してもらうことができます。
ただし、休業手当は会社都合で従業員が休業した場合に、賃金の60%を支払わなければならない労基法上の規則ですので、この取り決めは遵守しなければなりません。
受給できる額は2/3ですが、 対象労働者1人1日当たり8,330円が上限となっています。
また、教育訓練を実施したときの加算額:は1人1日当たり1,200円、支給限度日数は 1年間で100日 、3年間で150日までと上限が決まっています。
さらに、今回の特例措置の内容としては、以下の3点が追加されています。
①休業等計画届の事後提出が可能
通常、本助成の対象となる休業等を行うには、事前に計画届の提出が必要になります。
しかし、令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年5月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものとみなされます。
②生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮
直近1か月の販売量、売上高等の事業活動を示す生産指標が、前年同期に比べ10%以上減少している場合、生産指標の要件を満たしているため、申請が可能です。
③直近1カ月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象
通常であれば、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の直近3カ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象外となっています。
しかし、今回の特例措置に伴い、その要件が撤廃されます。
④事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象
事業所設置後1年未満の事業主は通常助成対象外となっていますが、今回の特例措置により対象となっています。
3.助成金のことなら井上社労士事務所が協力します!
これまで見てきたように、飲食店が申請できる新型コロナウイルスの助成金や貸付事業は多く存在し、今後さらに充実していくと考えられます。
日本政策金融公庫の貸付事業では、これまでより大幅な貸付額の増額、利下げを行っており、苦しい飲食店経営者には有難い支援です。
また、セーフティーネット保証や雇用調整助成金は要件が特例措置により要件が緩和されるなど、新型コロナウィルスにより苦境に立たされている経営者の損失を埋めてくれます。
要件の確認や申請方法については、社労士に相談することをお勧めします。
井上社労士事務所は助成金の申請に関して専門的な知識と経験でサポートいたします。